ミライ・ヤシマが舵を握ったホワイトベースは「ペガサス級(ホワイトベース級) 強襲揚陸艦」と呼ばれています。
その「強襲揚陸艦」とは、どの様な性能を携えているのか?
また強襲揚陸艦とモビルスーツ、V作戦との関りや連携は、どの様な物だったのでしょうか?
揚陸艦と強襲揚陸艦
そもそも「揚陸艦」とは第二次世界大戦時に戦車や兵士、その他兵器などを海上から整備された護岸などを経由することなく、陸地(砂浜等)に送り込む目的で作られた船です。
この揚陸艦を使った有名な作戦が、ナチス・ドイツに対し連合軍が行ったノルマンディー上陸作戦です。
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揚陸艦とは 文字通り、戦力を陸に揚げる艦船です。
ホワイトベースはこの揚陸艦の前に「強襲」と言う2文字がくっ付いていますが、現代の強襲揚陸艦とは、兵器や兵士を送り込む事ができる能力を持つヘリコプターや船等を搭載できる艦船を言います。
簡単に解釈すれば「揚陸艦を搭載できる艦船」という事かな。
- 強襲揚陸艦の中から揚陸艦が出てきて、その揚陸艦の中から兵器や兵士が出てくる。
揚陸艦は、陸に兵力を直接揚げる事に主眼が置かれており、その事でより敵陣に近付く必要がある為、攻撃を受けるリスクが大きくなります。
その為、強襲揚陸艦は部隊規模の複数の揚陸艦や兵器を敵の攻撃を受けにくいリスクが低い場所までまとめて移送させ、作戦指揮や回収・メンテナンス、後方支援を行う母艦の役割をもちます。
モビルスーツ運用の強襲揚陸艦
これらを踏まえるとホワイトベースは、白兵・格闘戦を行うモビルスーツを敵陣に揚陸させる事が目的であり、星一号作戦時はア・バオア・クー内にガンキャノンやガンダムを揚陸させる事に成功したので、本来の運用目的を達成したことになります。
ここまでで見ると「揚陸艦」としての能力と言う事になりますが、モビルスーツには自ら自由に動く事ができる機動性を持ち合わせるため、故障・メンテナンスが必要となった場合はホワイトベースに自力で帰還することができます。
このように、母艦としてモビルスーツを受け入れる事はもちろん、再び戦場に送り出せる能力があり、艦長のブライト・ノアの指揮の下、ひとつの部隊として活動していたので ホワイトベースは単なる揚陸艦とは異なる性能を持ち合わせているのです。
モビルスーツの量産計画と強襲揚陸艦開発の経緯
ガンダム入門塾においてV作戦とは、
「モビルスーツの量産とそれらを効率よく運用するための母艦の開発が主な目的で、いくつかの計画が複合した 計画群の総称」
としていますが、一般的にはモビルスーツの量産計画だと解釈している方が多いようです。
モビルスーツは、宇宙・地上・作業ロボット・格闘・白兵・一般兵器・砲台 等々、場所を問わず万能な運用用途が想定された為、その多岐に渡る能力をフォローできる運用母艦の開発は、実はモビルスーツ開発と同じくらい大切な事項としてとらえられていました。
これに対し、V作戦発動前に「SCV-27 0077戦力整備計画」という計画で新造船「ペガサス」を建造していましたが(一年戦争開戦の2年前)、一年戦争開戦後にモビルスーツの重要性が理解されてV作戦が発動し、SCV-27計画はV作戦に統合されたので、ペガサスはモビルスーツ運用艦「ペガサス級 強襲揚陸艦」として設計変更され、急ごしらえで建造されました。
V作戦発動により、格上げになったこの計画に求められた大きな事項として、、
⇒母艦としてはもちろん、強襲揚陸艦としての後方支援と攻撃力、モビルスーツの戦闘中の回収・補給・メンテナンス作業能力の付加
⇒重力下でも運用できるよう、ミノフスキークラフトの標準装備
等です。
しかし、当時 世に殆ど出ていない技術をわずか3カ月で成し遂げなければならず、かなりの高コストとなったようですが、そこは地球連邦。
ジオンの30倍の国力に物を言わせ、最終的にこの「ペガサス級」は終戦後も含め試験的なモビルスーツ運用艦として、およそ7隻建造されたようです。
全てが試作扱いでしたので、試行錯誤の結果が外観に出ていて、似てはいますが細部形状がそれぞれ異なります。
SCV-69 ペガサス
ペガサス級1番艦。
ホワイトベースと同型であったが、建造中に機関部の問題が発覚し、ジャブローに停泊していた事が多かった様。
SCV-70 ホワイトベース

ジオンからは「木馬」と呼ばれていたヨ。
ペガサスの次に竣工した、ご存じホワイトベース。
ペガサスの機関部の問題を受けて改造された為 建造に時間が掛り、本来ペガサス級の1番艦であったが、2番艦となった。
V作戦の中核を担う艦としてRX78-2 ガンダムを搭載し終戦まで運用された。(星一号作戦で大破・放棄)
ニュータイプ部隊と称される事も。
SCV-71 ホワイトベースⅡ
ペガサス・ホワイトベースに続く3番艦。
この3艦はほぼ同型であるが、機関部の根本的見直しが必要となり次艦以降、形状や構造が見直される事となる。
SCV-73 ブランリヴァル
RX-78-3 G3ガンダムが搭載され、星一号作戦時にア・バオア・クー戦に参戦した。

搭載されていたRX-78-3 通称:G-3ガンダム
SCVA-72 サラブレッド
この艦から機関部の改良やモビルスーツハンガーの拡張等施され「準ペガサス級」と称される。
- RX-78-4 ガンダム4号機
- RX-78-5 ガンダム5号機
これらが搭載され、星一号作戦時にア・バオア・クー戦に参戦した。

搭載されていたRX-78-4
ガンダム4号機だヨ。

同じく搭載されていたRX-78-5
ガンダム5号機です。
SCVA-73 グレイファントム(トロイホース)
ガンダムシリーズは搭載していないが、ガンキャノン量産型やジムスナイパーⅡを搭載し、サイド6に配備されていた。

ポケットの中の戦争に登場したヨ。
トロイホースに改名したという話もあるが、詳細は不明。


グレイファントムのスカーレット隊に配備されていた「ガンキャノン量産型」

同じくスカーレット隊に配備されていた「ジムスナイパーⅡ」だヨ。
MSC-06 スタリオン
一年戦争終結後に就役。
0083に行われた地球連邦軍による観艦式に出艇したが、デラーズフリートによるガンダムGP‐02の核攻撃により消失。
この時、上記のグレイファントムも消失したとされる。

アトミックバズーカを用い、核攻撃で強襲した「ガンダムGP-02」
通称:サイサリス
MSC-07 アルビオン
一年戦争終結後に就役。

デラーズ闘争で、GPシリーズの運用母艦となったアルビオンだヨ。
0081.10月20日に発動したガンダム開発計画(GP-project)においてガンダム運用母艦として建造され、このアルビオンがペガサス級シリーズの最後艦であると言われている。

搭載されていたガンダム開発計画の1号機「ガンダムGP-01」
通称:ゼフィランサス
強襲揚陸艦のその後
この様に、地球連邦軍はモビルスーツの能力を高めるために試行錯誤を繰り返しながら「ペガサス級・準ペガサス級 強襲揚陸艦」を建造していき、一年戦争の作戦立案はそれ無くしては成り立たない存在感を示しました。
しかし、自ら高い機動力を持つモビルスーツには単独での揚陸能力も備えている為、揚陸艦の意味が薄れていった影響もあったのか、一年戦争後に進水したアーガマ級からは「強襲巡洋艦」として設計され、ペガサス級で培ったモビルスーツ運用能力に加え、高い巡行能力と長期に渡る単独作戦行動能力に重きを置かれていくようになりました。
それらの技術は、その後のカイラム級(逆襲のシャアで登場)へ継承され、宇宙世紀100年以降の艦船の殆どにミノフスキークラフトが標準装備され、高いモビルスーツ運用能力と共に重力下・無重力下問わず活動できるようになりました。
宇宙世紀以降 モビルスーツは兵器として高い能力を備え、進化し続けていった現れであり、モビルスーツを活かす運用母艦も必然的に高性能化していったのです。

グリプス戦役でガンダムMkⅡやZガンダム、百式等を運用していたアーガマ級強襲巡洋艦1番艦「アーガマ」
重力区画等も設けられ、総合的な性能が向上しています。
ちなみにホワイトベース等が「ペガサス級」と称された経緯は、四隅に張り出したモビルスーツハンガーとエンジンブロックが馬脚に例えられた事と、揚力を得るための翼があいまって、伝説上の動物「ペガサス」になぞり「ペガサス級」となったそうです。
・・・それは、言わなくても何となく連想できるか。。
そういえば「ガンペリー」って、あれがホワイトベースに於ける揚陸艇なのかな?

ガンペリー
ミサイルが格納されている部分にガンダムがラックされていた事もあります。
出撃場所までの距離があれば、ガンペリーの出番はありそうですが、大体は「アムロ、行きまーす!」でカタパルトで ばびゅーん。って感じですかね。

確かに劇中の出撃シーンは極端に少ない。

すんません。
以上 余談でした~。
海岸から物資を陸揚げする揚陸艦。
車両や戦車、兵士や物資等が陸揚げされている実際の様子です。