モビルスーツは技術が進化する過程でZガンダムのような可変機能を獲得していきますが、その可変機能に欠かせない技術が、
- ムーバブル・フレーム
と呼ばれるものです。
このムーバブル・フレームは一年戦争時には登場しない技術ですが、今後登場する可変モビルスーツを語る上で切っても切れない事項になりますので、あえて ここで解説していきます。
ムーバブル・フレームはモビルスーツに革新的な影響を与えました。
一体、どの様な技術なのでしょうか?
目次
ムーバブル・フレームを持たない第一次モビルスーツ
先に申し上げましたが、ムーバブル・フレームは一年戦争時は理論こそありましたが、実用されていない技術です。
一年戦争時に活躍したモビルスーツ達は 一般的に、
- 第一次世代モビルスーツ
と呼ばれます。
簡単に言うと、このムーバブル・フレーム機構が盛り込まれていないモビルスーツを指します。
では、下記の図を見てください。
これは、MS-06・ザクⅡの装甲材を取り外した時の姿です。
黒く見えている部分が、いわゆるフレームと、駆動モーター等ですが、実の所、この状態ではザクⅡは激しく動くことができません。
…なぜか?
じつは第一次世代モビルスーツは、外骨格構造なのです。
第一次世代モビルスーツの特徴
私たち人間は「骨」によって自重を支えています。
これに対し、カブトムシやカニ等の甲殻類は、自重を硬い殻で支えています。
ザクⅡも同じような考え方で、自重のすべてを人間の骨に当たる内部のフレームだけで支えることができないので、装甲材に自重を分散し、半外骨格構造と言う形で機体の強度バランスを保っているのです。
つまり、この場合のザクⅡの装甲材は「骨格+装甲+放熱板」と言う3重の役目を果たしています。
足や腰にあるパイプは、放熱板でもある装甲に熱を伝える役割があります。
第一次世代モビルスーツの弱点
この様に、第一次世代モビルスーツは外骨格構造です。
この弱点は、自重を支える強度が必要な為、装甲材がかさばってしまい、関節の稼動範囲を狭めている点です。
みなさんご存知のZガンダムは複雑な変形を行わせる事ができますが、この第一次世代モビルスーツの稼動範囲の狭さは、可変モビルスーツを開発するにあたり大きな障害として立ちはだかりました。
可変機能は当時の第一次世代技術では困難だったこともあり、ドムに見られる様なホバー機能での移動や、グフに見られるサブフライトシステムなどによる長距離移動を採用せざるを得ませんでした。
モビルスーツは運用上、単機で高速及び長距離移動できるのが理想であり、まさにZガンダムはその理想を手に入れた究極のモビルスーツであったといえます。
第二・第三次世代モビルスーツの誕生
Zガンダムの一話から登場するガンダムMkⅡはムーバブル・フレームを使った、
- 第二次世代モビルスーツ
と呼ばれます。
一番分かりやすい例で言うと、百式の足元を見てください。
中のフレームが丸見えです。
足首部分のフレームが見えていますね。
これが、ムーバブルフレームです。
ムーバブルフレームとは簡単に言うと、自重の全てを内部のフレームで支える構造で、その分 稼動範囲を狭めていた装甲のかさばりを無くし、複雑な動きを可能にしているのです。
つまり、ムーバブル・フレームとは、
- 外骨格から内骨格構造に変化した物
と言う事です。
この百式の場合、バックパックにはテールバインダーと呼ばれる羽みたいな物がついていますが、これは飛行形態を取り入れた可変モビルスーツを作ろうとした名残です。
百式は、開発途中で不具合が見つかった為、可変機能は見送られ そのまま実戦配備されました。
すなわち、失敗作です。。
そして、Zガンダムの誕生。
ムーバブル・フレームによって稼動範囲が増えた事で、完全可変出来るようになり、加えてマグネット・コーティングがこの頃になると標準化されていた事もあり、素早く変形を行うことができました。
Zガンダムはあれだけの複雑な変形を行うのに対し、変形時間は0.5秒と言う短い時間しか必要としません。
ウェイブライダーに変形するのに0.5秒。
速えーナ。
こうして可変モビルスーツは、
- 第三次世代モビルスーツ
と呼ばれるようになります。
単機で完全変形し、高速・長距離移動を宇宙でも重力下でも場所を問わず運用出来るようになったので、あらゆる作戦に対応できる超万能機として、後々のモビルスーツの基となります。
第三次モビルスーツ迄のまとめと、主力世代機について
要約すると、
- 第一次世代 ⇒ 半外骨格構造(モノコック構造)
- 第二次世代 ⇒ 内骨格構造
- 第三次世代 ⇒ 内骨格構造+可変システム
となります。
この後、第四次世代 第五次世代と続いていきますが、その後の主力モビルスーツは、
- 第二次世代モビルスーツ
となっていきます。
…ハイ?
なんで逆行するのカ?
と、ハロみたいに思うかもしれません。
第四世代モビルスーツの概要
第四次世代モビルスーツとは、ガンダムZZやニューガンダム・サザビー等、大型のメガ粒子砲を備えたり、キュベレイなどのサイコミュシステムを用いたニュータイプ専用のモビルスーツがそれに当たります。
ニューガンダム
装備されているフィンファンネルは、ビームバリアを展開する事も出来ます。
サザビー
ファンネルはもちろん、腹部には大型メガ粒子砲を装備してます。
要は高コストでありつつ、特定のパイロットしか搭乗できないモビルスーツです。
第五世代モビルスーツの概要
更に第五次世代は、第四世代の性能を保持しつつ、更にミノフスキークラフトを搭載させたモビルスーツがそれに当たります。
クスィーガンダムや、ペーネロペーが代表的な機体です。
クスィーガンダム
ブライト・ノアの息子、ハサウェイが乗ってます。
超高コストであるため、もちろん主力量産機となる訳がありません。
モビルスーツの性能と戦力バランス
軍事活動、すなわち戦いは「数」が重要とされます。
軍備体制を効率的に整える為には、性能とコストのバランスが良い第二次世代モビルスーツの需要が高まり、それが主要モビルスーツとなっていきました。
代表的な例で言えば、逆襲のシャアで登場する「ジェガン」がそれに当たり、宇宙世紀0093~0120年代まで、およそ30年程主力量産モビルスーツを務めています。
ジェガン
F91やガンダムUCにも登場してます。
第一次世代は論外。
第三次世代の可変機能は、特に重力下での運用で重宝されましたが、コストがネックとなり、少数量産されるに留まりました。
少数量産化された第三世代モビルスーツ
Zプラスです。
また 第四次世代機は、戦局によっては必要な場面も想定されますが、高性能な反面、それらが仮に破損・大破した場合は、大幅な戦力ダウンとなってしまい、部隊活動に対して大きな影響を与えるデメリットとなります。
つまり依存的になってしまい、部隊編成のバランスを整えることが難しくなるのです。
サッカーで言うなら、スター選手を軸にチーム作りして、その選手が怪我などで欠場すると、途端に勝てなくなるのと同じですね。
すんません。
以上、余談でした~。
百式=失敗作という誤解
すさん
コメントありがとうございます。
百式=失敗作と書くと、確かに誤解を招きますね。
可変機能については失敗作と書くべきでしょうか。
モビルスーツとしての性能は決して失敗ではないですよね。
ムーバブルフレームは一年戦争後に開発された技術でしたよね。
ジオン系MSやRXシリーズはモノコックやセミ・モノコックということですが、
手足などをアッセンブリとして破損の際に交換を簡略化したとか。
例えば、脚とかは各関節にショックアブソーバー機能があるはずですが、
モノコックだったらどう懸架するのでしょうか?
外装も応力吸収の一部に使おうとするのがモノコックの機能だと思います。
少なくとも車はそうです。
外力が四方からかかると思われるMSの場合,
成立初期からフレーム構造でないとおかしくないでしょうかね?
難問さん
いつもコメントありがとうございます。
装甲材に包まれている部位単位でモノコック構造とし、それをアブソーバー付きの各関節にジョイントさせる。
そんな構造なのでしょうか。
モノコック部位単体での応力吸収はできますが、あくまでも部位ごとの単体の話しで、例えばMSのスネ部分に攻撃を受け、その部位のモノコック構造単位は壊れないけど、関節からもげる。
関節に弱点を設けて、そこを壊して本体を守る構造というのであれば、思想としては理解できますね。
関節部分は巨大なヒンジとアブソーバを合体させた構造は何となく想像できるかなと思いますが、第一世代MSは外板と内部フレームの融合で持たせないと成り立たないほど、内部フレームが貧弱だったのでしょうか??
ある目標容積内で構造を納めようとすると、フレームだけデカくなって、外板が薄いハリボテみたいになり、一方で耐弾を重視すると外板が厚くなりフレームが貧弱になる。
これのバランスを考えたら、フレームと外板がお互いに依存しあう構造になってしまった。的なことなのですかね。
うむぅー。
?これ、回答になってますかね・・
世代の定義は複数の資料があって設定が違ってて曖昧だったと思います
特に第二と第四で定義されるMSに違いが出ます
「第四次世代 ⇒ 内骨格構造+直結式大出力メガ粒子砲内蔵」とする資料を多く見かけます
直結式大出力メガ粒子砲内蔵の有無からニューガンダムは第二世代とする考えが多いです
ニューガンダムの武装は大出力かもしれないが、直結式の内臓ではありません
世代=強さじゃなくて、構造の種類みたいな分け方なのでニューガンダムが当時最強なのは間違いないです
キュベレイはムーバブルフレームを持たないとする資料もあるようなので内骨格構造かどうか曖昧でよくわかりませんが、キュベレイも当時最強格なのは間違いない
私の中ではZZ時代に流行ったような、ゴテゴテしたり豪華な大出力路線のMSが第四次世代のイメージがなんとなくあります
ニューガンダムはシンプルだし、サザビーは腹部メガ粒子砲で直結式大出力メガ粒子砲内蔵の条件こそ満たしているけどシンプル寄りです
太郎さん
コメントありがとうございます。
ガンダムの様々な定義は「これ!」と言うものが無く、どれが正解かわからんのは否めませんね。
この世代設定も後付けなのでしょうし。。
「第四次世代 ⇒ 内骨格構造+直結式大出力メガ粒子砲内蔵」
この解釈は、異論ありません。
νガンダムは、ファンネル非装備なら確かに性能のいい第二次世代機と捉えられますね。
UCガンダムみたいにサイコフレーム内臓も別の世代にしても良いのでしょうが、あれは歴史から抹消されたようなもんでしょうから例外ですかね。
でもνガンダムもアクシズを押し上げた時、他のモビルスーツを無力化していった様は、サイコフレームの力なので第二世代と呼んでよいのか?
νガンダムも試作機なので正確には例外でしょうか?
うむぅ。定義が難しいですねー
量産化された機体は分類出来そうですが、試作機などワンオフに近い機体は世代そっちのけで造っている感がありますね。
「典型的な第四世代の代表格」
ゲーマルク
ドーベン・ウルフ
クィン・マンサ
ZZ
Ex-sは第四世代として紹介されることが多いです。
「第二世代だったり第四世代だったり曖昧な機体」
νガンダム:基本構造は原点回帰でファンネルは外付けなので、直結型メガ粒子砲を第四世代の条件に含めるなら満たしていないが、第四世代としてる資料も見かける。
サザビー:腹部に直結型メガ粒子砲を持ってるから第四世代の条件は満たしているけど第二世代寄り?なせいか第二世代とする説みあるようです。
第二世代の条件はムーバブルフレームの他にガンダリウムγ採用を条件として、ガンダムMkⅡは1・5世代とする資料も多く見かけました。
関係ないですが、MSとMAの定義もちょっと難しかったように思えます。
太郎さん
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、世代分けは曖昧な点が多いですね。
実際の兵器開発は目的とプランがあってその逆算で開発が進められ、その時点で何のカテゴリになるかが明確になると思いますが、ガンダムの世界の場合、思い付きや発想がビジュアルになっていますので、目的やコンセプトも後付けとなりこの様な曖昧な事になるのでしょうね。
文末のMSとMAの定義分けは、当サイトで記事にしていますので、読んでみて下さいね。
https://www.gundam-nyumon.com/neta/10206/