所属 | ジオン公国 |
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出身地 | サイド3 |
所属部隊 | – |
年齢 | 35歳(身長190㎝) |
階級 | 総帥、公子、公国軍大将 |
能力 | 政治工作・作戦指揮 |
ギレンは、ジオン・ズム・ダイクン亡き後の国家独立運動を引き継ぐ若きリーダーとして民衆から支持を受け、公王である父・デギンの公子としての実権を掌握。
ジオン公国 総帥となった独裁主義者です。
宣戦布告後、一週間で人類の半数(45億人)を死に至らしめた悲惨な「一年戦争」を仕掛けた張本人でもあります。
自由の獲得、支配、特権…
色々な物が見え隠れする中、多くの犠牲を伴った戦争に、ギレンが掲げた正義や意義とは、一体どの様なものだったのでしょうか?
政治と父とダイクンと
サイド3で生まれたギレンは、父 デギン・ソド・ザビに帯同し、サポートや補助的な立場から宇宙移民者として、また名士ザビ家の長子として政治活動に参画していました。
そんな中、後に「建国の父」と呼ばれるジオン・ズム・ダイクンと出会います。
政界や財界に太いコネクションを持つ 父 デギンと、宇宙移民者の将来を語るカリスマのダイクン。
この2人が共に手を取り合い、地球連邦と相対しながら国家独立に向けての活動を傍で見ることが出来た希少な立場のギレン。
一歩一歩 その崇高な目的に向かって肉付けがされて行く様をつぶさに感じ取っていきます。
この過程でギレンは天命と位置付ける程、革命への使命感を強めて行きました。
コの時、20代前半。
多感な青年だったんだよネ。
次第に、ザビ家はダイクンが主導する活動の中核を担う存在になっていきますが、一方でダイクンの思想はそのままに、別の狙いや思惑、言い換えるならば「野心」を抱く事にもなります。
IQ240のナルシズムと野心
ギレン・ザビの知能指数(IQ)は240あるといわれていて、ゆえに自分自身は特別な人間である。
理屈から入り、他人の意見に流されず、自分の考えを淡々と実行に移す事が出来る、愛憎に左右されない冷静沈着な性格の持ち主です。
一般人の知能指数は100前後。
130以上で異常値とされているヨ。
幼少期にはエリート教育を受け、そのIQも相まって特権思想や、自己への特別視が培われていったようです。
ダイクンからインスパイアされたギレンは、宇宙移民者の独立を、その知能で自分なりに掘り下げ解釈していきました。
そこから導き出されたものは、
- ダイクンの思想には同意だが、デモ程度の域を出ていない。
- 強い姿勢で臨まなければ、時間だけが過ぎてしまう。
- 温厚に事を進めるダイクンはある意味、目的到達の弊害でもある。
- 絶大なカリスマのダイクンから実権を奪う手段とは?
共通の敵である地球連邦との軋轢が増すごとに、目的達成へのはやる気持ちの落ち着き処を見失い、次第にそのベクトルは狂い始めていきます。
ダイクンと乖離する点は、「温厚」と「強硬」
天命と位置付ける程の崇高な思想の革命を推し進めるには、それを掲げたダイクン自体が邪魔なのです。
議会演説中に倒れ込んだダイクン。
病床に就き、そのまま帰らぬ人となりました。
政策と優勢人類生存説
宇宙移民者のシンボルでもあった絶大なカリスマ、ジオン・ズム・ダイクンの死亡。
落胆する民衆の心に出来た隙間に、ギレンは新しい動機と希望を注入します。
ダイクンは、宇宙移民者の独立を嫌う地球連邦によって暗殺された!
この事で、宇宙移民者に「怒り」と言うモチベーションを与え、
宇宙に住む人間こそ次世代に残りうる新しい人類であり、選ばれた種によって新しい世界を創造できる!
ダイクンの唱えた人類の革新・ニュータイプの概念を飛躍して解釈し、
「ジオン国民こそ選ばれた人種である。」
とする希望を植え付けたのです。
やがてギレンは、サイド3の共和国制を辞め「ジオン公国」とし、国家独立を宣言。
ダイクンの盟友であった父・デギンを公王として立て、地球連邦の自治権から離脱し、国家としての対立姿勢を強めていきます。
この事で、益々強まるジオン国民の支持を勢いに変えつつ、ギレンは意思統一を図る政治的宣伝として「優性人類生存説」を発表しました。
選民思想をベースとした自らの考えを強く訴えた内容になっているヨ。
勝利へのポイント
実権を握ったザビ家。
父・デギン公王は国家の象徴的存在である為、政治から半ば引退する形をとりました。
この事で、長子であるギレンが総帥となり、また 公子、公国軍大将の肩書を加え、政治や軍の全権を掌握します。
ギレンが思い描く理想郷の成立には、多くの無駄な人種を削除する必要があり、国力が連邦に比べ1/30と言われる状況を踏まえ、勝利へのポイントは、
短期決戦である事。
この1点に尽きます。
兵器群と組織編制
その性格と立場から、運営にまつわる全てに於いて総帥の介入が及ぶかと思われました。
しかし、短期決戦に向けての兵器開発や組織形成については、ある程度ドズル中将とキシリア少将に任せ、自身は政治や国家運営に軸足を置きます。
細かな肉付けは弟妹に任せる形をとりました。
その狙いは、
- 俯瞰する立場から状況を眺める事。
- その上で揃っていく、整っていく兵器や組織の特性を整理し、短期決戦に向けての最適を導き出す事。
ミノフスキー粒子の活用
当時、理論崩壊と揶揄され軽視されていた、異端的化学者・ミノフスキー博士の理論。
しかし、デギン・ソド・ザビはサイド3にミノフスキー物理学会を設立し、研究を続ける環境を整えました。
やがて、UC0069(開戦の10年前)。
ミノフスキー粒子の実証に成功し、電波かく乱の効果も併せて発見。
また、ミノフスキー粒子の融合によりメガ粒子を生成する事にも成功し、これらの兵器転用への道筋を既に作っていました。
モビルスーツの開発
当初、ギレンはモビルスーツの開発を嘲笑し、この事に積極的ではありませんでした。
ただ、それを否定する代案や理由も明確になく、ドズル主導の下そのまま開発を容認しました。
やがて、ミノフスキー粒子との戦術的相性も良く、予想に反し高い効果と汎用性を示した実用レベルのザクを見て、ギレンは正式に量産を承認。
モビルスーツを軸とする軍備体系を整えていきます。
宣戦布告とブリティッシュ作戦
自らの生活基盤であるスペースコロニーを質量兵器として転用し、敵陣ジャブローを直撃する!
重力に任せれば勝手に落下してくれるこの作戦は、ギレンの合理主義から考えれば的を射ています。
- ミノフスキー粒子:隠密行動・奇襲攻撃が可能となる。
- モビルスーツ:戦闘にも重作業にも対応可能な、堅牢かつ汎用性を持つ。
- スペースコロニー:既に身近に沢山ある。
この3つの要素で、短期決戦での決着要素は整いました。
「ブリティッシュ作戦」と銘打ち、戦争を仕掛けるのです。
作戦失敗
独裁政権下で心血注いで完成させたモビルスーツ。
ザクⅠを含め、およそ8,000機が量産されていたヨ。
これはブリティッシュ作戦成功への絶対不可欠なピースです。
作戦の絶対成功の宿命を背負い、莫大な時間と資金を費やし、連邦を圧倒したこの切り札を用いても、ギレン総帥指揮の下、ブリティッシュ作戦は目的未達。
作戦は失敗しました。
加えて、その後のルウム戦役では、敵将レビルを捕虜とするも奪回を許し、ジオンの内情が漏洩。
その影響で、連邦の降伏を目的として進めていた交渉は、戦時協定「南極条約」に形を変え、戦争は当初の思惑とは真逆に長期化する事になりました。
独裁主義で国家を率いた反面、失敗は絶対に許されなかった中で、ザビ家が筆頭の建国間もない小国・ジオンは、敗北に匹敵する程の状態に陥ってしまったのです。
不協和音
ザビ家に忠誠を誓いつつも散っていた部下たちの命に面目が立たない!
声高らかに宣戦を布告した緒戦で、早々とつまずいたジオン。
疲弊した国民には士気を煽り、団結の形を整える一方で、ザビ家内にはギレン総帥への失望や不信感から不協和音は深みを増します。
キシリアの野心はより根深いものとなり、ドズルは部下への配慮と政争を毛嫌いして現場側にスタンスをとり、どんどんベクトルが合わなくなっていきました。
デギン公王も、もともと戦争を仕掛ける事に乗り気では無かったので、総帥に対する唯一の影響力を持つ立場から、苦言などを呈する役割を担おうとします。
そして、困惑の事態をも黙視する参謀たち。
大丈夫なのかな。。
それでも、自身を特別な人種と思い込んでいるギレンは、何も変わる事無く、何も変える事無く、その立場でナルシズムを貫き、混沌とした戦況下で終焉を迎える運命を辿るのでした。
まとめ・考察
ギレン・ザビについて記述しました。
ギレンには忠誠を誓う配下が一定数います。
しかし、それは「総帥」という絶対的な立場であるからです。
高い知能と人を見下ろすような風貌。
また、確信をつく雄弁さから、配下の人間はそれを信じ崇め、心の拠り所として団結するものです。
しかし、これは真髄を知らずして組織を構築する「大多数の集団」に過ぎません。
強い組織の骨子を固めるにあたり、デギン公王を始め、キシリアやドズルの様な肉親との団結を築けなかった事は、ジオン公国の組織的脆弱さに直結しました。
運営上、もちろん意見対立する様な事はありますが、キシリアやドズルに至ってはそれを通り越し、憎悪にまでに昇華しています。
こうなれば感情が先行し、国家を鑑みた取捨選択や優先順位の決定が正しく出来なくなってしまいます。
体裁だけ整えられた国家。
そこに求めていた戦争への正義とは、人権を軽んじた歪んだ選民主義。
それを達成する殺戮に意義などあろうはずもありません。
孤高の天才ギレン・ザビ。
高い場所にいる人間が下に降りる事ができても、低い場所にいる人間が上へ昇る事は容易ではない。
民を率い、理想を追求するのであれば、目線を落とし凡人を理解する努力が足りていなかったかも知れませんね。
すんません。
以上 余談でした~。
ジオン・ズム・ダイクン
地球連邦の評議会議員でもありました。