モビルスーツ開発のパイオニアであるジオン公国。
戦争に勝利するための画期的な新兵器としてモビルスーツを開発し、その汎用性を効果的に活用するブリティッシュ作戦によって戦争を短期で終了させようと計画していました。
宇宙での戦闘によって勝利を目指していたジオン公国軍ですが、一方では意外にも局地用・陸戦型モビルスーツの研究も進めていたらしいのです。
宇宙に漂うコロニー国家のジオン公国にとって局地用・陸戦型モビルスーツの開発には、どの様な意味があったのでしょうか?
陸戦用モビルスーツの開発と戦争プラン
一年戦争が開戦するおよそ2年前のU.C0076.12
ジオン公国軍は、U.C0075.8に既に量産化されていたMS-05 ザクⅠをベースとし、局地用・陸戦型のモビルスーツ開発に着手します。
ザクはスペースコロニー内での運用も想定されていたので、重力下でも活動ができる万能機として設計されていますが、ただ、ブリティッシュ作戦を成功させた後の地球の実行支配のプランニングは、
- ブリティッシュ作戦の成功
- モビルスーツを使用した各サイドの制圧
- 地球上へモビルスーツを投下し、地球連邦の各拠点の制圧
- 反抗に対する抑止・鎮圧を行うため、地球環境へ特化したモビルスーツの開発・改良
上記4に近づくに連れ、重力下でのモビルスーツ性能に対する要求度が高くなります。
反抗する残存部隊等は地の利を生かした局地に集結する可能性や、北極や砂漠にある拠点攻略には時間を要する可能性があります。
これらの事から、最終的にはモビルスーツの局地型・陸戦特化機の開発は当初から想定に入っていたのです。
陸戦型モビルスーツの開発プラン
先に述べた様にザクは万能機ではあります。
しかし、寒冷地や砂漠、密林などの過酷な環境に対応する性能は備えていません。
なぜなら、モビルスーツ開発は極秘事項であったので、コロニー内の極めて限定的な環境でのデータ収集しか出来ず、局地や陸戦用の研究は想定や想像の域でしか進める事が出来なかった為です。
加えて極度な万能性は色々な長所を相殺してしまう事や、状況によってのデッドウェイト化、コストが増大するという問題もあります。
また、ジオンの戦争勝利のシナリオは、ブリティッシュ作戦成功に強く依存しています。
戦争に勝利した後、モビルスーツの万能性により一旦はそれで対処し、それから必要に応じて局地用・陸戦型モビルスーツを開発するプランであったようです。
- 戦争に勝利
- とりあえず既存モビルスーツの万能性で制圧・鎮圧活動を開始
- 各環境のデータを収集、局地用・陸戦型モビルスーツの順次開発
しかし、目論みは外れブリティッシュ作戦は失敗。
戦争長期化に備え、苦し紛れに地球降下作戦を実施した事から、局地用・陸戦型モビルスーツの開発は急務となってしまいます。
モビルスーツの改良
急務となってしまった地球上での陸戦用モビルスーツの配備。
開発とは言えど、汎用性が高かったザクⅡの改良レベルで対応出来る事から大掛かりな設備投資や時間が必要ではありません。
想定の域ではありましたが、その研究は進められていたので苦し紛れの対応も見え隠れしますが、早い段階で稼動レベルへ移行できたようです。
万能機であるモビルスーツは、宇宙での運用が主であった為、宇宙用の装備(放射能対策や冷却システムなど)が施されており、重力下であればこれらの装備を省いて軽量化させ、コストも低減できます。
その一方、重力下仕様として歩行やジャンプによって移動する事のダメージに耐えうる膝や足回りの強度の確保が必要で、後は配備される環境に適した、防塵・防水・耐寒等の装備を施す。
それに加え、必要に応じ武器の拡張や追加などが行われていきました。
この事で、色々な機体がバリエーションとして存在することになります。
ザクシリーズ
宇宙で運用されていた主力機・F型の姿勢制御用のバーニア等の装備を取り外し、陸戦型へ改良されました。
陸戦用の武装として、脚部のロケットランチャーや撹乱の用途としてクラッカー等が追加されています。
その汎用性の高さから、砂漠や砲撃戦を想定した機体も開発されました。
MS-06J 陸戦型ザクⅡ

MS-06D ザクデザートタイプ

MS-06D ザクデザートタイプ
文字通り、砂漠地帯等で運用された機体です。
ガンダムZZでも登場します。
MS-06K ザクキャノン

MS-06K ザクキャノン
砲撃戦や拠点防衛用として運用されていたケースが多いようです。
グフシリーズ
グフは、ザクの設計思想や汎用性の限界を勘案し、重力下仕様機として全面的に設計が見直された機体です。
ザクのパーツを流用する工夫はされていますが、6割のパーツは新規に製造されています。
MS-07 グフ

MS-07 グフ
陸戦特化型・対モビルスーツを意識して開発された機体です。
連邦軍工場キャルフォルニアベース奪取後に量産されました。
MS-07B3 グフカスタム

MS-07B3 グフカスタム
フィンガーバルカン等の固定武装のメンテナンス性の向上、及び元々の戦闘能力は保持しつつ 装備の拡張性を意識してマイナーチェンジされた機体です。
MS-07H グフフライトタイプ

MS-07H グフフライトタイプ
重力下でのモビルスーツの飛行を目指し開発された機体。
ドムのホバーリング機能のテスト機としての側面も持っています
ドムシリーズ
ドムはモビルスーツの自重から来る重力下での移動能力の低さを補うため開発された機体です。
強靭な外装を持ち、ホバーリングによる機動力でジャイアントバズによる一撃離脱戦法をとれる事から、比較的未熟なパイロットでも扱うことが出来た名機です。
MS-09 ドム

MS-09 ドム
ご存知ドム。
元々陸戦用として開発された機体です。
これを宇宙用に改修したのがリックドムです。
MS-09D ドムトロピカルテストタイプ

MS-09D ドムトロピカルテストタイプ
熱帯・砂漠戦用として開発された機体。
まとめ・考察
ジオンの陸戦用モビルスーツについて記述しました。
コロニー国家であるジオンが陸戦用モビルスーツを開発したのは、戦争勝利後の連邦軍拠点のスムーズな制圧・鎮圧を狙った為です。
ただ 思い通りに戦局は進まず、逆に不利な状態に陥ってしまった上、急務として陸戦用モビルスーツを前線へ配備する必要がありました。
地球連邦軍のモビルスーツ量産が予見出来た事から、色々な場面を想定し多岐に渡るバリエーション機を開発することになります。
一部ではその性能が発揮され、有用な効果をもたらしたモビルスーツもあれば、方やグフの様に性能の偏りがあり、パイロットに経験と技能を求める機体も存在しました。
ただでさえ不利であったジオンは、そこで時間と労力と人を浪費してしまったのです。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
- 連邦軍はどの程度の規模の量産を行うのか?
- それらは どの様な性能を持つのか?
その様な憶測から、あらゆる局面で対応できるバリエーション機を揃えようとしたのかもしれませんね。

すいません。
以上、余談でしたー。
MS-06J 陸戦型ザクⅡ
局地用ではなく、万能性を持った重力下仕様機です。