モビルスーツ開発において、ジオン公国軍に遅れをとった地球連邦軍。
ミノフスキー粒子を散布する戦術を考慮すると、モビルスーツが戦場に必要な兵器であると認識し始め、元々あったモビルスーツ開発計画「RX計画」をV作戦に統合。
独自のモビルスーツ開発を進めていきます。
その結果、ジオン公国軍のモビルスーツ駆動システム「流体パルスシステム」とは異なる「フィールドモーターシステム」の採用を決定。
ガンダムの開発と主力機の量産体制を整えていきました。
技術の粋を集め、連邦が採用したフィールドモーターシステム。
これは、どんな構造でどの様な特徴があるのでしょうか?
フィールドモーターシステムの仕組み
ジオン公国が採用したモビルスーツ駆動システムの「流体パルスシステム」は人間の心臓と血液と筋肉の働きに似た構造になっています。
一方の連邦が採用した「フィールドモーターシステム」は、ミノフスキー技術を応用した小型モーターを駆動ユニットとして搭載しており、ジオンのそれとは仕組み・構造が全く異なります。
核反応炉から出力される電気エネルギーをフィールドモーターに通電して動かす単純な仕組みです。
下図を見てください。
フィールドモーターシステムによるモビルスーツのひじ関節を動かすプロセス。
通電によってモーターを駆動させ、他の関節も基本的に同じ構造になっています。
上記の様に、フィールドモーターシステムの関節(駆動)部分の構造は、●で示した部分の様に駆動支点とフィールドモーターを組み込ませたユニット構造になっています。
一見 ジオン公国が採用している流体パルスシステムより構造は簡単・単純に見えますね。
フィールドモーターシステムのメリット
地球連邦のモビルスーツの設計コンセプトはユニット構造(セパレート構造)である事です。
従って、フィールドモーターも関節と同化したユニット構造になっており、それが壊れたりすると、そのユニットを丸々取り替えるだけで良いので破損した場合、交換にかかる作業時間を短縮する事ができます。
また構造上、流体パルスシステムに見られるような動力パイプやパルスコンバーター等を必要としないので、重量と体積を小さくする事が出来ます。
例えば、ジムとザクⅡの重量を比較すると・・・
ソの差、15tもあるヨ。
ザクⅡのひざ関節部分に見られるような動力パイプ等も不要になる為、突起部が少なくなります。
白兵、格闘戦を想定されたモビルスーツにとってこの部分は大きなアドバンテージですね。
フィールドモーターシステムのデメリット
高性能なフィールドモーターにもデメリットはあります。
フィールドモーターは関節等と同化したユニット構造である事とミノフスキー技術を応用した先端技術でもある為、見た目と異なり構造が非常に複雑でシビアな技術も要求されます。
すなわち 精密電気製品みたいなもので、過酷な現場でバラしてメンテナンスする様な事ができません。
従って些細な故障でもフィールドモーターを含めた関節(駆動)ユニットを丸ごと交換しなくてはいけないので、決して安くはないユニットの交換費用が嵩むことです。
デも、これらデメリットを上回る最大のメリットがあるヨ。
最大のメリット「マグネット・コーティング」
フィールドモーターシステムの忘れてはならない最大のメリットはマグネット・コーティングを施すことが出来る事です。
このマグネット・コーティングは、機体レスポンスを20~30%ほど向上する事が可能で、機体の潜在的な機動力を引き出すことができます。
ジオン公国が採用している流体パルスシステムは、マグネット・コーティングを施すことが構造的に不可能で、流体パルスシステムは次第に遅れた技術としてフィールドモーターシステムに主役を奪われる事となります。
まとめ・考察
地球連邦軍は一年戦争開戦当初、ジオンのモビルスーツの前に手も足も出ず敗戦を意識するほどのインパクトを受けました。
しかし、その後 ジオン公国の運営状態の脆弱さがレビル将軍によって暴露された為、自信を吹き返すと同時に地球連邦の伝統とプライドを意識する事にもなりました。
そこで地球連邦軍が考えた事は、
- モビルスーツの有効性は認める。
- しかし、ジオンのモビルスーツの模倣はしない。
- 画期的な技術導入を行い、ジオンのモビルスーツを凌駕する。
主にはこの3つです。
これに対し、
- についてはRX計画をV作戦に統合し、ガンダムの開発に着手し量産を視野に入れる。
- については旧態依然感がある建設重機の駆動システムではなく、軽量・高機能を備えた独自の駆動システムを開発する。
- については携行武装のビーム化
これらを軸に、ついに一年戦争最高峰のモビルスーツ「RX-78-02 ガンダム」を完成させるのです。
コアブロックシステムやルナチタニウムの採用も同時に行ったヨ。
伝統とプライド。
それに資金力と技術力をプラスし、開戦しておよそ10ヶ月という短い期間で上記全てを達成し、意地にも似たこの執念と努力で形勢を逆転させてしまったのです。
不利な喧嘩は不意打ちでもなんでもいいので一瞬で勝負を決めるのが鉄則です。
ジオン公国は一瞬で勝負を決めるには要素が足りなかったわけですね。
すんません。
以上 余談でした~。
熱を直接受け取って全体に分散させる流体パルスは冷却機能との兼用ができそうでむしろ軽く作れる要因となりそうだけど
フィールドモーター搭載機は炉の冷却はどうしているんだろう?
THさん
コメントありがとうございます。
うーむ。たしかに流体パルスシステムは、一つの部材に色々な機能を兼用させる事ができてますよね。
シンプルにできているフィールドモーター。
確かにどうやって炉の冷却をしているのだろうか。。
ジオン系モビルスーツに比べ、表面積も少なそうだし、装甲で放熱していると言ってもちょっと矛盾ですね。