地球環境を保全・回復させる目的で実施された宇宙移民計画。
この事で、地球からの強制疎開が始まり、生活基盤の変更を余儀なくされた人々の混乱が引き金となって、各地でテロや細かな戦闘が頻発しました。
しかし、それらは難民を発生させる程のものではありません。
ただ、その不満やストレスは組織や軍を構成する原動力となり、やがて宇宙世紀最大の大戦を引き起こす事になります。
一年戦争は、人々の生活基盤を根こそぎに奪い、多くの難民を作り出しました。
難民の中には、親や親族を亡くしてしまった幼い子供達も大勢居ます。
一年戦争により作り出された難民や孤児達は、時代の流れの中で どの様な運命をたどったのでしょうか?
宇宙移民者の難民
ジオン公国は開戦直後、ブリティッシュ作戦に於いて 宇宙移民者達が住むスペースコロニーへ無差別に攻撃を仕掛け、壊滅に追い込んだり、兵器に転用したりしました。
しかし、その中には完全な破壊までは至らず、少数ですが運用可能なスペースコロニーや、直ちに使用不能になる程のダメージを受けていないスペースコロニーも点在していました。
宇宙という環境の中、限られた移動手段と施設・設備が機能不全をおこしている状況で難民が自ら行動をとる事、また、それを受け入れる側に於いても数々の困難があったと言うのは容易に想像がつきます。
難民を受け入れる事が出来た一部のスペースコロニーや、健全が明らかであった月面都市には難民が押し寄せ、オーバーフロー状態から一部地域でのスラム化が深刻な状態になりました。
また、治安の悪化・内紛が発生したりと一年戦争の弊害は人類の半数の滅亡以外に、生存した人々にとっても居場所や自由・秩序も無い生き地獄とも言える状況を作ってしまったのです。
地球上での難民
ジオン公国が実施したブリティッシュ作戦は、失敗しました。
ただ、落下するスペースコロニーが大気圏内で四散分解した事で、結果的には広範囲に股がる重度な無差別攻撃となってしまいました。
この事で 生活基盤を絶たれた人々が大量の難民となってしまいます。
また、これに続きジオン公国は地球降下作戦を発動。
この事で、地球連邦は取り急ぎ実施していた難民救済活動の中断を余儀なくされ、加えて 健全であった都市や工業地帯などが襲撃・破壊・奪取され、更に難民が増加する事になりました。
地球連邦の勢力圏下の難民に対しては、仮設レベルでの救済が広く優先的に行われました。
しかし、勢力圏外や戦闘継続地域での難民には攻撃を受けている側の地球連邦も思うように手をまわす事が出来ません。
その為、自営的 又はボランティアレベルでの難民キャンプが設営されるに留まっていたようです。
宇宙移民者の中にも地球へ拠り所を求め、何とか地球に降下できた人々も居ましたが、ただ空気があると言う事意外 上記した様な厳しい環境が待ち受けていたのです。
地球連邦勢力圏外の難民キャンプでは、ジオン公国側から救済を行ったとの話もありますが、実態は起こり得るジオンへのゲリラ化やレジスタンス設立に対しての監視作業であったと言われています。
劇中でも、アムロが実母の居るキャンプに立ち寄った際、ジオン兵が巡回している描写があります。
戦災孤児たち
ホワイトベースに搭乗しているフラウ・ボゥやカツ・レツ・キッカ達は戦災孤児です。
身の拠り所が無く、仕方なく軍艦に身を寄せ、成り行きがままホワイトベースの運用クルーとして結果、働いている形です。
ホワイトベースがベルファストに立ち寄った際、カイ・シデンはミハルをはじめとする戦災孤児達と接触しています。
元ジオン兵であったククルス・ドアンは、ジオンの地球侵攻の在り方に対し良心の呵責に耐えかねて脱走し、戦災孤児達を連れて無人島で自給自足の生活を行い養っていました。
また、組織に紛れゲリラに加担して生きて行く選択をする子供も居たようです。
戦争の最中、両親を亡くし懸命に生きていこうとするドラマがガンダムには映し出されています。
しかし、上記した子供達が沢山いた傍ら、身寄りの無い戦災孤児たちは、一部ジオン軍に引き取られ サイコミュ研究やニュータイプと強化人間の研究に関する「検体」とされた例もあります。
その中で、精神崩壊や植物人間化、廃人になってしまった者も少なくなく、使い捨てのような取り扱いであったようです。
第08MS小隊 ラストリゾートに出てくる子供達はフラナガン博士の実験台であり、劇中にその描写もあります。
まとめ・考察
一年戦争時の難民と孤児について記述しました。
ジオンの国家独立という崇高な目的成就の為の戦争は、人間の愚かさを示す物でもあります。
ニュータイプは人類の革新であると唱えたジオン公国は、それを研究するために立場の弱い戦災孤児達を実験台としました。
・・何のための戦争か。
また、戦争のプランニングが強引だった事で戦争の長期化を招き、その中で地球上の難民らがゲリラ化し、徹底的に妨害を受ける形ともなりました。
一方の地球連邦軍は、戦争を仕掛けられた側ではありますが、仕掛けられた それなりの「原因」もあります。
つまり、一方的にジオンが悪いとは言い切れないという意味です。
一年戦争終結後は難民政策を本格的に行い地球上での施策は活発化します。
しかし、スペースコロニーの再建や宇宙移民者への救済活動は物理的な距離と環境から、本腰を入れず手薄なものとなってしまい、その結果 反連邦勢力誕生の引き金を作ってしまいました。
一年戦争以降の戦乱は、ジオンの残党とこれら難民の反連邦勢力によって引き起こる事となるのです。
代表的な作品・逆襲のシャアだヨ
すべては人の不完全さから生まれる人と人との認識のギャップが起因している事とも思いますが、その不完全さ故に補い合う知性を持ち合わせているのも人間です。
それを合理化できる人類の進化としてニュータイプを唱えたジオン・ダイクンの読みは正解であったかもしれません。
しかし 時代の流に飲み込まれ、そのニュータイプでさえも劇中では闘争を繰り返しています。
如何なる時代も人は所詮、煩悩を抱えた生き物である。
「歴史は繰り返される」という言葉がありますが、ガンダムにもそのメッセージが込められているのだと思います。
すいません。
以上、余談でしたー。
左から、カツ・レツ・キッカだヨ
俺の友達ダヨ