宇宙移民計画とは簡単に言えば地球から宇宙への疎開です。
宇宙世紀に入り、人口が増大し地球環境が大幅に悪化。
人類の生存が危ぶまれる程の環境悪化が進んだ為、宇宙に人工の大地「スペースコロニー」を建設し、その内壁を第二の大地として人を住まわせ地球の人口を減らし、環境を保全・回復させるのです。
宇宙移民計画の目的とは?
- 宇宙空間にスペースコロニーを建設し、人が住める環境をつくる
- 完成したスペースコロニーへ引越しをする
- 地球の人口が減った分地球環境改善及び保全を行う
地球再生計画と言っても良いと思いますが、傷んだ地球を自然に帰し再生させる事が目的です。
宇宙移民計画が始まった頃、地球の各国は一つの連合統一国家「地球連邦」となっていて、地球連邦政府の決議の下、スペースコロニーの建設に着手し、完成した順番に少しずつ人民を移住させていきます。
スペースコロニー
直径6km、長さ40km程ある巨大な「筒」です。
その内壁に地球と同じ「1G」の環境を作り、人が生活しています。
文化・宗教・人種・慣習……
それぞれが異なる約90億人にも及ぶ人口を宇宙へ強制移民させるので、もちろんそれは簡単な事ではありません。
宇宙移民者達は、多大なストレスを抱える事を余儀なくされますが、時代の流れや地球環境の現実には逆らう事は出来ず、少しずつではありますが宇宙移民計画は順調に進んでいきました。
宇宙移民計画の中止とその理由
宇宙移民計画が順調に進み、計画が始まって約50年が経ち、地球の人口が20億人まで減った頃、地球連邦政府は突然 宇宙移民計画の中止を発表します。
宇宙移民者にとって寝耳に水でしたが、その理由は、
宇宙に人を移住させるには莫大な費用も掛かり、また、地球連邦政府の都合上、政府の運営と地球の環境管理をするに当たり20億人の残留は妥当である。
との判断から「移住させる人がいなくなった」という内容だったのです。
しかし、その時地球に残っていた人達は、政治家、金持ちで特権階級の人、不法滞在者。
宇宙移民者達はその理由と状況に、もちろん違和感を覚えます。
計画の中止に至った地球連邦政府の真意とは?
地球連邦政府は、50年もの歳月に渡り宇宙移民計画を進めてきましたが、この計画中止の真意は、その長い歳月により宇宙移民計画の目的が薄れ、移民者の今後の取り扱いとビジョンを見失い、事実上 宇宙移民計画を放棄してしまったのです。
……ヒどいナ。
見方を変えれば、一般人を空気もない宇宙に追いやり、少数個人の意見や権力が地球を独占する形となっているとも言えます。
その上 地球連邦政府の中核は地球にあり、スペースコロニーの自治権も制限され、宇宙移民者たちは地球連邦政府から上から目線で、地上から管理されて行く事になったのです。
このように、地球連邦政府は宇宙移民計画開始から50年の間に真の目的を見失い、宇宙移民者の自由を制限し、私欲に走ながら立場と権力で物を言う腐敗した組織へと変貌してしまいました。
蓄積する宇宙移民者の不満や疑念
宇宙移民者は、多大なストレスを抱えながらも移住した上、スペースコロニーを建設し水や空気、食料まで作り出さなくてはならない(地球から多少の援助はあったが)環境におかれているにもかかわらず、地球を独占し やりたいようにやっている地球連邦政府から管理されるとは 一体何なのだ??
宇宙移民者は宇宙移民計画という名の下に、ただ単に地球から追い出されたのではないのだろうか??・・
地球連邦政府に対しこの様な不満や疑念が日々蓄積していきます。 つづく
要点・まとめ
- 宇宙にスペースコロニーをつくり、宇宙移民計画は開始された。
- 計画開始から50年後 宇宙移民計画は突然中断された。
- その時、宇宙と地球にそれぞれ住む人の身分の差別化が見られた。
- 地球連邦政府は計画の目的を見失って計画を放棄し、宇宙移民者は軽視され不満が蓄積していった。
多大な労力と時間が掛ってしまった宇宙移民計画。
その大きな負荷が当初の目的や信念を曲げ、計画倒れや目標喪失を引き起こしてしまいました。
しかし、それらは我々の日常にもありふれています。
政治家の意志や発言が変わるのもこの事と同じで、地球連邦政府の政治家達も例外無くそうなってしまったでしょう。
しかし、この事で少しずつ戦争への坂道を転がる事になるのですが。。
・・・つづく
終戦直前のジオン総人口が1憶5000万人(劇場版)。1サイドでこの規模だと、100億人の人口を移民させるのって本当にできるのかと言うツッコミが入ったようですね。wikiによると、オリジンではそれを逆手にとって、元々現実味の薄い政策を連邦が強行した様な描かれ方をしているようですが(すみません未見です)
流石にまずいと思ったのか、1つのサイドで10億人という設定も出て来たようですが、同じくwikiによると一年戦争前夜における地球圏の総人口は110憶人で55憶が宇宙移民。1stのナレーションによるとそのうち半数が戦争で死亡しているので、ざっくり見積もって一年戦争終戦時の地球生活者は23億人前後(乱暴な試算なのは承知してますw)。
逆シャアや閃ハサでマンハンターが活動している状況を見るに、連邦の棄民政策は(限られた富裕層を除き)ある程度は完遂されたのでしょう。移民が徹底されていないザル政策なら、取り締まってもきりがないし、ウッソたちもカサレリアにああも気を使って隠れ住む必要は無くなりますので。
そうなると、終戦からシャアの反乱までのわずか10年ちょっとで、20憶の人間を宇宙に送り込んだ事になります。
一年戦争で激減したとはいえ、戦後は新コロニーをろくに造っていない(シャアの演説)ようなので、戦争で人口が減ったコロニーに無理やり押し付けたのでしょう。ヨーロッパが無軌道に移民を受け入れて大混乱になりましたが、コロニー在住の半数近い人間を、連邦政府の強権で受け入れる羽目になったのです。それは反感に繋がって当然ですね。
一年戦争で死亡してコロニーのキャパが空いた所に押し込んだんでしょうから、おそらくインフラ的には問題ないでしょう。しかし、終戦後も人口は増え続けるでしょうし、文化ギャップや仕事や食料の奪い合いに格差問題。考えるだけでぞっとします。そのような前提に立つと、ガンダムではアースノイドとスペースノイドの対立が強調されてますが、スペースノイド同士の対立も凄そうです。
そう考えると、シャアや鉄仮面が言い出した「粛清」は、決して突飛な意見では無く、そう言った主張がまかり通る「土壌」は存在したのではないでしょうか?
尚、上記の意見はあくまで「そう言う視点もおもしろいかも」と言う話で、状況は参照する資料次第でがらりと変わると思いますが。
萩原裕さん
いつもコメントありがとうございます。
スペースノイドは月面都市に住んでる人たちも含まれるでしょうが、0080ではウラキが住民にボコボコにされていたので、月面都市の人々もアンチ地球連邦が多いのでしょうね。
同じスペースノイドでも、地元企業に働く人や、地球連邦に所属する公務員、ジオン軍に所属していた落人もいるのでしょう。
肌の色や人種、祖先の出身地、戦後にあとから放り込まれた弱者に値する人々。
もうカオスです。
文化、しきたり、習わし、宗教。
はっと思いつくだけならべても、スペースノイド同士が対立する土壌は十分でしょうねー。
衝突などして、色々な争いが起きて、結構な危機的状態になるとき、「連邦のせいだ!」と言って共通の敵を再確認。
そんな非生産的な理由で団結を生めたかもしれません。
それでも報われない人たちはニュータイプの存在を信じ(こうなれば宗教的です)、可能性を信じるしか無かったのでしょう。
仮にその団結を基にした連邦への「粛清」が成功したとしても、今度は共通の敵を無くしたカオス状態のスペースノイド達の主権争いが勃発。
それこそ一年戦争以上の大惨事になるかもしれません。
シャアたちが目指した理想の世界は物凄くハードルが高いものだったのかもしれませんね。