ジオン軍の海洋部隊の運用方法と狙い。薄れていく水陸両用モビルスーツの価値とは?

ジオン公国軍は、緒戦のブリティッシュ作戦とルウム戦役を失敗してしまった事を受け、自国の国力増大と戦争の長期化に備える事を目的とし、地球連邦軍の基地や施設等を奪取する「地球降下作戦」を発動させました。

地球降下作戦 降下位置図

地球降下作戦 0079.2~3

2012年8月9日

ターゲットとなる兵器製造工場や拠点は、施設冷却や製造上の問題で大量の水を使用する為、かなりの割合で水域に近接しています。

ジオン公国軍は、これら拠点の破壊を最小限に留め、最短で効果的に奪取する事に対し水陸両用モビルスーツの配備を決定しました。

水陸両用モビルスーツは、どの様な運用方法と作戦を想定して開発されていったのでしょうか?

旧世紀と宇宙世紀における「水中戦」の違い

旧世紀(現代)における水中戦は、潜水艦による無視界戦闘が主で、ソナーや音探知機の情報を基にした心理戦や頭脳戦がメインとなっています。

その運動能力、例えば アメリカ軍のバージニア級原子力潜水艦は、最高巡航速度は34ノット(約63km)程度で、唯一の武器である魚雷の速度も60ノット(約111km)程度とされています。

これに対し、水中用に開発されたモビルスーツの運動能力は、巡航速度70ノット(130km/h)を超える機動性を誇り、魚雷のみならず手足を使った接近戦に持ち込む事もできます。

ぴろすけ

巡航速度70ノットを誇るゴッグ
腕のクローは、艦船等の破壊を行ったり、作業用マニュピレーターとして利用することも可能です。

この様に、水中格闘戦を想定したモビルスーツは、旧兵器を遥かに凌駕し、全く異なる運用が可能となるのです。

ジオン公国軍は、水中での戦闘能力向上と浮力による自重の相殺ができるメリットを活かそうと考えました。

旧世紀と宇宙世紀における「上陸戦」の違い

上記によって水中戦を制し、制圧活動を開始する際、上陸して連邦拠点への攻撃を行う事になります。

旧世紀(現代)の拠点攻略プロセス

  1. 制空権の確保(敵の反撃に対応)
  2. 上陸ポイントへの援護攻撃(艦船からの攻撃により混乱を作る)
  3. 揚陸援護(揚陸艇やヘリ等により部隊や武器の投入)
  4. 拠点制圧(投入された部隊により戦闘を開始)
旧世紀戦略
ぴろすけ

多数の部隊・人や兵器を同時に投入する必要があります。
大々的な感じですね。

ハロAI強化ver.

オまえ、絵心ないナ

これらのプロセスが必要となります。

宇宙世紀での拠点攻略プロセス

水陸両用モビルスーツを活用すると、上記した①と③をオミットする事ができます。

言い換えるなら、大幅に部隊や人員を削減しつつ同等以上の効果を得ることが出来るのです。

  1. 上陸ポイントへの援護攻撃(モビルスーツ搭載艦船(潜水艦)による攻撃)
  2. モビルスーツの機動力・堅牢性・攻撃力により一気に拠点へ侵入及び破壊殲滅活動の開始
宇宙世紀戦略2
ぴろすけ

旧世紀の戦略に比べ、モビルスーツの能力によって色々な局面に対処でき、大掛かりな攻撃も省けるので、施設の破壊を最小限に留めて攻略ができます。

ハロAI強化ver.

赤いのなんダ?
・・・マッドアングラーのつもりカ?
オまえ、絵心ないナ

ぴろすけ

・・・

隠密性も相まって、奇襲攻撃という形にもなります。

最小限の部隊・兵器編成で短時間で甚大な被害を与えることが出来るのです。

拠点攻略の実例

ポケットの中の戦争の冒頭、サイクロプス隊が北極の地球連邦軍拠点を制圧・ガンダムNT1を奪取する作戦は、このプロセスが用いられています。

ハロAI強化ver.

北極拠点制圧時に使用されたハイゴッグだヨ

ぴろすけ

背面にジェットパックの後付装備が可能で、陸上でも高い機動力を誇りました。
でも、軽量化された代償として堅牢性を失い、機体強度は低下しました。

ジオン公国軍の海洋部隊の充実と衰退

この様に、旧世紀と比べ 水陸両用モビルスーツを利用した戦術は、機材や部隊さえ整えれば、最小の労力で最大の効果を得られる可能性があります。

キシリア・ザビ少将はそこに着目し、海洋部隊の充実を急がせました。

しかし、水陸両用モビルスーツはその運用方法から隠密性の確保、機体強度、堅牢性を兼ね備える必要があり、一体型モノコック構造であることが一般的で、その影響からメンテナンス性能が低下してしまいます。

改善することの出来ない水陸両用モビルスーツの最大の弱点とは?

2015年4月10日

機体のメンテナンス性能が低下すると言う事は、反比例して維持するためのランニングコストが増大します。

しかも主戦場が水域近辺のみという汎用性の低さ、また、地球連邦軍の1/30以下と言われるジオン公国の懐事情では、海洋部隊の充実した編成と性能維持に対し、負担が重く圧し掛かります。

この影響から、一年戦争以降はどの組織においても 水陸両用モビルスーツの開発・量産は積極的に行われなくなりました。

その代わりに、サブフライトシステムによる空からの制圧や、可変モビルスーツの誕生により、作戦のスピードUPと省力化が進んで、それらを用いたより効率的な戦術に主眼が置かれる用になります。

ぴろすけ

モビルスーツとの連携をするサブフライトシステムの例です。
空域を制しつつ、上空からモビルスーツを降下させて拠点制圧活動に移行します。

確かに水陸両用モビルスーツは、水域に近接する施設を制圧する作戦に順応する最適な機体でした。

しかし、苦し紛れで行った地球降下作戦の失敗や、先に述べたメンテナンスやコストの問題で、その価値が上がる事はありませんでした。

まとめ・考察

ジオン公国軍は、モビルスーツの運動能力を活かしながら隠密性も確保しつつ、水中での自重の相殺が出来るメリットを活用して海域を制圧しようとしました。

しかし、水陸両用モビルスーツの地上での運動能力は、ジム等の汎用型モビルスーツと比べ劣ります。

水冷式ジェネレーターやモノコック構造等の水陸両用モビルスーツ独特の構造や機構から、自重が増す事で運動能力が損なわれているのです。

確かに 一年戦争序盤は、対抗する戦力が無かったので拠点制圧を効率的に成功させていましたが、連邦がモビルスーツを配備した事で次第に陸上では歯が立たなくなってしまいます。

一時、水中にモビルスーツを誘き寄せて仕留める戦術なども見られましたが、やがてそれも見破られ手も足も出なくなってしまいました。

特化した性能の威力を活かしきれなかった海洋部隊。

地球連邦がモビルスーツを配備する前に 連邦軍本拠地・ジャブローを叩けていれば、水陸両用モビルスーツは後世にも語り継がれる程の高い評価と価値であったかも知れませんね。

ぴろすけ

すんません。
以上、余談でした~。




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ガンダムは好きですが、宇宙世紀でないシリーズは詳しくありません。 シャアとアムロが織りなす世界観が好きなのです! 「塾長」と称していますが、ただの一年戦争ヲタク。 熊本県在住 普通のサラリーマン。 階級は伍長あたりで、もちろんオールドタイプであります。。