宇宙要塞ソロモンの陥落によって 体制の立て直しを余儀なくされたジオン公国軍。
同時にソロモンを束ねたドズル・ザビ中将も戦死し、宇宙でのジオンと連邦との勢力図が大きく入れ替わろうとしていました。
ここでギレン・ザビ総帥は、一発逆転の新しい秘策をデギン公王に進言します。
ソーラレイ計画。
これは、どの様なプロジェクトなのでしょうか?
コロニー転用兵器「ソーラレイ」
ソロモンに於いて地球連邦軍は、地理的要因を活かしつつ敵の虚を突いた作戦を実施し、対要塞兵器「ソーラー・システム」が決め手となって、見事な勝利を納めました。
戦局を一変させる効果とインパクトを与え、事実、ジオン公国軍のプランは手痛く崩されてしまったのです。
ただ それに対抗しようと、ギレン総帥自ら温存してきたプロジェクトがありあす。
それが「ソーラレイ計画」です。
密閉型スペースコロニーの巨大な「筒」を大口径レーザー砲に改造する。
これを地球連邦軍艦隊が集結しているポイントに向けて発射し、一気に戦力を奪う事を目的としています。
サイド3、3バンチ 密閉型スペースコロニー「マハル」。
改造後は砲身が40km×6kmにも及び(諸説あり)、その大口径から桁外れの威力と射程距離を誇ります。
地球連邦軍の「ソーラー・システム」と比べ 桁違いの威力を有し、ジオン公国軍の劣勢をイーブンに戻す事ができる唯一の手段です。
ただ、地球連邦軍が何時 どの様な行動に出るかは掴めておらず、作戦進行と戦局を見極めれば ジオン国民に配慮をしている時間などありません。
3バンチ マハルの居住者達を、今すぐ、直ちに、強制的に退去させる必要があります。
デギン公王の思惑
戦いの限界を感じ始めていたデギン公王。
ジオン・ダイクン亡き後、デギン公王はジオン「共和国」を「公国」とし、事実上の独裁政権にしました。
その意図は、国民の意思統一や国家の行方を定める時に、なるべく他言に振り回される事なく 短時間で結論を導き出したかったからです。
しかし ギレン総帥に実権を譲ってからは、戦時中という特殊な環境と相まって一方的な軍事指揮系統として利用され、自己の欲求や目的を果たす道具となってしまいました。
加えてガルマやドズルという肉親まで失い 更なる劣勢に立たされた今、国家としての最善策、また公王として最良の判断とは、連邦との和平交渉の実施。
すなわち 戦争を終わらせる事であると考え、密かに部下であるダルシア首相に相談を持ちかけていました。
ギレン総帥の思惑
ゆるぎない勝算を胸にするギレン総帥。
その思惑とは?
ギレン総帥はIQが240あると言われていて、故に自分は特別な人種・選ばれしリーダー。
彼の唱える「優性人類生存説」の体現者とし、優れた説得性とカリスマを武器に幅広く強い影響力を既得しています。
そんなギレン総帥は、ジオン公国軍の防衛ラインを構成する3大拠点のひとつ「ソロモン」を突破されたこの状況下でも、戦争に勝利できると考えていました。
劣勢に立っている状況は理解しながらも、それを跳ね除け打開できる手段がある。
それが「ソーラレイ」です。
戦争のあり方に疑問を抱き始めていたデギン公王に対し、ソーラレイ計画を進言したギレン総帥は苦言を呈されます。
デギン公王は独裁を続けるギレン総帥に「貴殿はヒトラーの尻尾だ」と苦言を呈します。
「ヒトラーは所詮敗者なのだぞ」と。
互いに腑に落ちないやり取りが続きましたが、デギン公王はこのソーラレイ計画を承認。
このソーラレイがあれば、ギレン総帥の勝利のシナリオは完成に近づくのです。
ソーラレイ発射
デギン公王はソーラレイ計画を承認しました。
しかし、極秘に乗艦「グレート・デギン」を出港させ地球連邦軍の集結ポイントへ和平交渉に出かけます。
「老いたな・・・父上。」
公王自ら交渉に向かうと言う事は、それに相応する対面がある。
ギレン総帥は、ソーラレイの建造を急ピッチで進めさせます。
やがて、地球連邦軍艦隊とグレート・デギンが集結ポイント「ゲルトルバ」で、これから和平交渉を始めようとしていたその時、ギレン総帥は躊躇なく完成したソーラレイの発射を命じたのでした。
ソーラレイ発射の様子
12月25日に認可を受けたソーラレイ計画は12月30日には運用可能状態となっていました。
5日間で作り上げた急造兵器です。
ギレン総帥は、地球連邦艦隊ごとデギン公王を撃ったのです。
言い換えれば、囮として泳がせて連邦主要艦隊をおびき寄せたとの見方もできます。
この事で、地球連邦艦隊の30%に相当する戦力を 指揮官のレビル将軍ごと一撃で沈める事に成功しました。
【動画】ソーラ・レイ発射の様子
想定通りの効果に加え、政敵でもある父を撃ったギレン総帥の独裁政権は更に加速するかに思えました。
しかし、このソーラレイ発射とデギン公王の戦死に違和感をおぼえるザビ家の長女・キシリア少将は、ただでさえ不仲だったギレン総帥への疑惑を深める事になります。
このソーラレイ計画は今後の戦局はもちろん、ザビ家の存続にも関わる大きな問題に発展するのです。
要点・まとめ
- デギン公王は、巨大レーザー砲「ソーラレイ」の使用を認可。その裏で和平交渉を画策。
- ザビ家の方向性が合わなくなり、ギレン総帥は和平交渉中のデギン公王をソーラレイで撃ってしまう。
- その射線上には連邦軍の集結ポイントがあり、その一部を消失させ、ジオン軍が反抗ののろしを上げる。
- デギン公王の死に違和感を覚えたキシリア少将は、ギレン総帥への不信感が更に増大する。
ザビ家の2トップのベクトルが合わぬまま、それぞれに異なる行動を起こしたジオン公国。
もはや、組織は崩壊しています。
承認を得た上、敵が集結している状況をギレン総帥が見逃す訳がありません。
なぜなら、如何なる手段であろうと仕掛けた戦争に勝利しなければならないからです。
ギレン総帥は、防衛体制を整え地球連邦の攻撃に備えます。
・・・つづく
ビグザムにはやられちゃったけどネ。。