サイド3は国家として独立を宣言しました。
すなわち、国家を存続させる上での経済や防衛にまつわる対策は、全て自らで構築する事になります。
しかしジオン公国はサイド3を基盤とした小国な為、経済規模は限定的で資金は豊かではありません。
地球連邦は地球全体で連合国家として成り立っていましたので、その資金力の差は歴然!
しかし、戦争を仕掛けて勝利を収めるには軍備充実は不可欠です。
また、資金が無いのに地球連邦軍と同じ兵器と規模を揃えて行く事も不可能です。
ならば、その置かれている環境や資金で地球連邦軍に勝つ方法を見出さなくてはなりません。
ザビ家が実効支配するジオン公国にとって、来る戦争を見据え、今までの常識を覆す新たな兵器を開発すべく、「ミノフスキー粒子」に着目し、大きな期待を寄せ研究を進めていきます。
過去の戦いから見たミノフスキー粒子の可能性
歴史を振り返えると第二次世界大戦以来、化学技術の目覚しい発展により、レーダー等の観測機器はミサイル迎撃やピンポイント爆撃などに応用され、戦局を大きく左右してきました。
この事により、わざわざ最前線に部隊や兵器を送り込まなくても安全に正確かつ効率よく攻撃を加えたり、レーダー等により敵の情報を察知する事ができるようになったのです。
レーダーによる探知のイメージだヨ
では、もし、このレーダー等の観測機器が使えない状況になったらどうなるのでしょうか?
ミノフスキー粒子は、いままでの歴史上で培われた現代兵器の効力を無効にしてしまう可能性を秘めていたのです。
不遇のミノフスキー理論
トレノフ・Y・ミノフスキー博士は、宇宙世紀0045~0046にこれまでの素粒子物理学の根源を覆す理論を発表するのですが、それを立証するにあたり必要な素粒子が、まだ仮説段階であったミノフスキー粒子の存在です。
ミノフスキー博士の理論は革新的で、これまでの物理学と一線を画すモノであるので、独自にミノフスキー物理学を提唱し研究を進めようとします。
ただ、あまりにもドラスティックでこれまでの物理学の体裁も面子も失ってしまう多くの化学者達によってミノフスキー物理学は黙殺され、関連する学会に受け入れられることはありませんでした。
そもそもミノフスキー博士は異端児的存在で学者達からも煙たがられ孤立状態となっていたので、やがて学会からも追放されてしまうのでした。
ジオンのバックアップと立証されたミノフスキー理論
ジオン独立に関与していたミノフスキー博士は学界から追放された後、ザビ家のバックアップを受けサイド3にミノフスキー物理学会を設立する事になり、研究はそのまま続行され結果的にミノフスキー粒子の存在は明らかとなりました。
開戦前後の話となりますが、後にミノフスキー理論を用いて生み出された技術が、
- 小型化に成功した熱核反応炉 モビルスーツの開発が可能になった
- 素粒子を電磁誘導して整列させる メガ粒子やミノフスキークラフト、Iフィールドなどの実用化
- モノポール(単極磁気)の発見 マグネットコーティングが誕生した
- サイコミュシステムの開発 ニュータイプ存在を裏付ける事になった
これらの技術はミノフスキー物理学ありきのものであり、ミノフスキー博士を学会から追放した科学者たちの既知の大統一理論は事実上清算を迎えます。
この事て、ジオン公国は革新的でこれまでにない基礎技術を積み上げる土台を、地球連邦に先んじて自国内に創ったことになります。
ミノフスキー粒子を利用した環境と兵器
宇宙世紀0069にミノフスキー粒子の理論は立証され、いろいろな応用分野へ展開するまでになっていました。
ジオン公国は、ミノフスキー粒子理論を積極的に取り入れて、新しい兵器の開発とそれらを用いた戦略の立案を開始します。
最初に着手したのは、ミノフスキー粒子の特性の一つ、
「電気を吸収して蓄えてしまう」
これを利用する事により戦場の環境がどう変わるかに着目します。
ミノフスキー粒子の性質
そもそもミノフスキー粒子とは、ミノフスキー博士が研究を進めていた小型の熱核反応炉内の核融合反応によって副産物として作り出される素粒子(目視できない細かな粒)です。
つまり、融合炉が稼働し続ける限りミノフスキー粒子は生成され続けるので、安定的に確保できます。
枯渇しないし、電気を蓄える特性を戦争の技術に応用できないか?
この発想から状況を整理し、電子観測機器などが発する電波もミノフスキー粒子の特性で吸収して蓄えてしまう事が確認されたのです。
ミノフスキー粒子の活用法
実際の戦場でミノフスキー粒子を活用するには、下記のプロセスが想定されます。
- 空間へミノフスキー粒子を一定の濃度まで散布
- 通信や観測機器の著しい機能低下
- レーダー探知や索敵、ミサイルの遠隔操作の機能不全
つまり、地球連邦軍が保有する高度な観測機器により培ってきた技術や戦果を一蹴。
目視の重要性や接近戦が多発する原始的戦術に戻らざるを得ない環境を作る事ができ、現存する地球連邦軍の兵器をほぼ無力化出来る環境を作り出せると考えたのです。
ミノフスキー粒子は革命的な戦術変更を余儀なくされる可能性を秘めています。
新兵器モビルスーツの開発へ
現在ステルス戦闘機などレーダーに映りにくい兵器はありますが、ジオン公国は観測機器そのものの能力を奪ってしまうこのミノフスキー粒子の効果に大きな期待を寄せました。
そして、その目視の重要性や接近戦が多発する原始的戦術に戻らざるを得ない環境を利用して最も高い効果をもたらすと考えられ必要とされた兵器こそ、今までのどのカテゴリーにも当てはまらない新型機動兵器「モビルスーツ」です。
少ない資金と現在置かれている立場や条件を強みに変えて軍備を整え、最終的に地球圏の平定を勝ち取るため、ミノフスキー粒子の効果による戦闘環境で脅威となる新兵器を開発するという方針の下、ジオン公国は淡々と準備を進めていきます。
・・・つづく
要点・まとめ
- ジオン共和国は当初、軽視されていたミノフスキー粒子を本気で研究した。
- その結果、地球連邦軍が保有するレーダー・通信・遠隔操作等の機能を奪うことが出来ると判明する。
- 従ってその環境下では、目視確認や隠密行動、接近戦など原始的な戦術を強いられることになる。
- ジオン共和国は、その環境下で脅威となる新兵器「モビルスーツ」の開発に着手する。
ミノフスキー粒子散布下でのモビルスーツの有用性はこの時点で大きな期待を持たれました。
それはもちろん「戦争に勝利し、国家と地球圏を平定する」ためです。
ある意味、巨大化し過ぎて現実を軽視してしまう組織「地球連邦」に対して最も有用な手段であるのかもしれません。
現実味を帯びてくる新兵器 モビルスーツの開発。
一年戦争はすでに始まっているのかもしれませんね。
・・・つづく
国力は地球連邦の1/30しか無かったと言われています。