宇宙世紀の主力武装として君臨するメガ粒子砲。
当初は戦艦など、巨大なジェネレーター(ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉)を保有する兵器の固定武装として用いられていました。
しかし、戦争による技術開発の過程で、技術的に困難であったモビルスーツへの装備もできるように進化・改良されていったのです。
南極条約で禁じられたNBC兵器に次いで強力とされるメガ粒子砲。
どの様な仕組みになっているのでしょうか?
メガ粒子砲とは?
メガ粒子砲はミノフスキー技術を応用した武器です。
メガ粒子砲と言う名前から考えても連想できると思いますが、簡単に言うと、
- メガ粒子を放つ装置
です。
例えば 現代にある実弾兵器(拳銃や大砲)は、弾丸を放つ装置です。
この弾丸の代わりに メガ粒子を放つ訳ですが、まず、
という疑問が沸いてくると思います。
メガ粒子はミノフスキー粒子を原料として作られるのですが、先ずは、メガ粒子が生成される工程を解説します。
メガ粒子砲の仕組み
メガ粒子の原料となるミノフスキー粒子は、必ず+か-の電気を帯びています。
この+と-の電気を帯びているミノフスキー粒子を1対にして、負荷(圧縮)を掛けると縮退と言う現象を起こし、これを融合させる過程で電気的に中性にして高熱源エネルギーに変化させます。
………って、何やら難しい用語が並んでいますが、とにかくミノフスキー粒子が合わさると凄いエネルギーになるという事みたいです。。
詳しくは外部サイトの縮退ヘ。
この高熱源エネルギーに変化したものが「メガ粒子」です。
メガ粒子砲内のI・フィールドを応用した縮退発生装置で、メガ粒子へ変化させる生成作業が行われます。
その生成作業を経て作り出されたメガ粒子を砲身内で、ある一定量蓄積させ、その後 勢い良く放出させるのがメガ粒子砲です。
下記の図を参照して下さい。
もの凄く簡単に言うと、水鉄砲と同じような発射プロセスです。
上記の工程を経てメガ粒子を放つ事で、メガ粒子砲となります。
メガ粒子砲は、この収束の過程を省略して発射するとメガ粒子が束にならないので、バラバラに飛び散ります。
これを応用したのが アプサラス や サイコガンダム に見られる拡散メガ粒子砲です。
サイコガンダムの拡散メガ粒子砲だヨ
バラバラに飛び散るかラ、無差別攻撃になル。
モビルスーツへの装備「エネルギーCAP」
メガ粒子砲は、戦艦やモビルアーマーに搭載する事は一年戦争開戦前でも可能な技術でした。
その一方で、モビルスーツに搭載できるサイズにまで小型化できなかった理由が、
- モビルスーツサイズのプラットフォームに高出力ジェネレーターを搭載できなかった。
- ミノフスキー粒子の縮退を起こす装置を小型化出来なかった。
などが挙げられます。
つまり、戦艦やモビルアーマーでメガ粒子を生成する技術を、そのままスケールダウンしてモビルスーツに転用する考え自体に無理があるという事です。
そこでメガ粒子を生成する事をあきらめ、あらかじめ負荷を掛けて縮退寸前にしたミノフスキー粒子を貯め込む技術、
エネルギーCAP
を開発し、それをライフルに装着する事でモビルスーツによるメガ粒子砲の運用を可能としました。
「CAP」とは、capacitor(キャパシタ)の略で、コンデンサと同じく「蓄電器」という意味です。
縮退寸前のミノフスキー粒子をこのキャパシタに蓄積しておきます。
縮退寸前のミノフスキー粒子はエネルギーCAPから排出された後、収束・加速リングを通過する前に最後の負荷が掛けられ、メガ粒子に変化します。
このエネルギーCAPの登場によってメガ粒子砲は簡素化され小型化に成功し、モビルスーツはビーム兵器を手にする事になりました。
メガ粒子砲の威力
拳銃や大砲を始めとする実弾兵器は、音や熱の発生でそのエネルギーを逃がしやすく、実際は理論値上の威力の30~40%程度しか確保できません。
一方のメガ粒子砲は、発射する初速が速い事と、エネルギーの減衰が少ない事。
更に、弾道の直進性能の高さに加え高熱源エネルギーであるメガ粒子を発射するので、強烈な貫通力と溶解力により実弾兵器を遥かに凌駕する破壊力を持ちます。
ガンダムに採用されている装甲材「ルナ・チタニウム」であっても容易に破壊する事が可能で、理論値の80%以上と言う高い威力を確保しているのです。
但し、収束リングを介してメガ粒子を「束」にしている為、チリや故意的な遮断分子等が散布された空間では、収束性が低下して威力が落ちやすいと言う短所もあります。
特に大気がある地上においては如実にその現象が現れやすいのですが、それを差し引いても実弾系の兵器に比べ高い破壊力を保持できます。
この威力差は、モビルスーツの価値を大幅に向上させる事から、モビルスーツへのビーム兵器携行は次第に標準化され、モビルスーツ単機でも艦隊を沈めることが出来るほどの戦闘力を与える事になるのです。
ガンダムに搭載されたビームライフルだヨ。
これらの事を踏まえると、ビーム兵器を装備していなかったグフやザクは、兵器としては未完成なものであったのかも知れません。
エネルギーCAPの進化「エネルギーパック」
一年戦争で使われたRX-78-2ガンダムが装備するビームライフルは、エネルギーが切れるとビームライフルを持ち帰って縮退寸前のミノフスキー粒子をチャージしなければなりませんでした。
状況によっては邪魔になり、ビームライフルを捨ててしまう事も。
この手間とロスを解消すべくビームライフルの改良が行われていき、これを実弾兵器、例えばザクマシンガンの様に、
「マガジン取り換え式」にできないかなぁ?
この改良を加えられて開発されたのが「エネルギーパック」と呼ばれる物です。
ザクマシンガン。
上部の丸いのがマガジンで、弾丸が詰まっています。
弾丸が無くなればマガジンを取り外し、新しいマガジンを取り付ける事により、弾を撃ち続ける事ができます。
このエネルギーパックの技術は一年戦争時には開発が間に合いませんでしたが、戦争終結後、「ガンダム開発計画(U.C0081 10月中旬発動)」において、エネルギーパック式のビームライフルが開発されました。
その後、Zガンダムで登場するティターンズの量産モビルスーツ「 ハイザック 」にエネルギーパック式のビームライフルが標準装備され、その実績からその後のモビルスーツの殆どはこのエネルギーパック式のビームライフルを装備することになりました。
この事で、
- マガジン化されたエネルギーCAP = エネルギーパック
これを複数所持できる事から、モビルスーツ1回の出撃に対する火気不足が解消され、長期の作戦などに対するモビルスーツの応用力が飛躍的に向上したのです。
しかし、アムロ・レイが最後に搭乗した νガンダム が装備していたビームライフルはエネルギーパック式でなかったと言われています。
アムロ最後の搭乗機
ν(ニュー)ガンダムだヨ。
νガンダムは戦局に応じて、ビームライフルのモードを、
- 射撃
- 通常
- 連射
と3つのモードに切り替えることが出来ます。
この事で、エネルギーCAPに高負荷が掛かり、エネルギーパックの構造が取り入れられなかったという話もあります。
まとめ・考察
ジオンがモビルスーツを開発した当時、今回記述したメガ粒子砲は既に実用化されていました。
しかし、メガ粒子砲をモビルスーツに搭載するまでには至りませんでした。
じつは、この事がジオンの戦争の行方を左右する上で、大きな事柄となります。
地球連邦軍は一年戦争開戦当初、ジオンのモビルスーツの威力の前にコテンパンにやられてしまいましたが、それを教訓にモビルスーツを開発する事と、そのモビルスーツにビーム兵器を搭載する事を目指します。
ジオンのモビルスーツが装備する実弾系の武器より、ビーム兵器を装備する方がモビルスーツの攻撃力を含めた戦闘能力を格段に引き上げることが分かっていたからです。
ジオンと同等のものを保有するのではなく、同等以上の画期的なものでなければ地球連邦のプライドが保たれない!
この強い想いと、敗戦を意識させられた開戦当初の強烈なインパクトと危機感を基に、ついに ジオンには成し得なかったメガ粒子砲の小型化に短期間で成功し、今度は逆にジオンの度肝を抜きます。
もし、ジオン公国がもう少しがんばって、ブリティッシュ作戦時にゲルググの様なビーム兵器搭載モビルスーツを量産配備できていれば、プラン通りに戦争に勝利していた可能性が極めて高かった筈です。
ビーム兵器が標準化されたMS-14 ゲルググ。
実戦配備は終戦直前の11月下旬の事でした。
こういう所もジオンの詰めの甘さが出ている気がします。
因みに、モビルスーツに搭載されている物は「ビーム砲」と呼ばれ、モビルアーマーや戦艦に搭載されている物は「メガ粒子砲」と呼ばれているようです。
呼び方が違いますが、この2つの物は本質的に同じ物で、ガンダムなどに装備されているビームライフルもメガ粒子砲という事になります。
これは私案・仮説ですが、上記した通り モビルスーツに搭載されたメガ粒子砲は、エネルギーCAPを用いてメガ粒子を生成しています。
このエネルギーパックの技術を応用したメガ粒子砲が「ビーム砲」と呼ばれているようです。
また、戦艦や巡洋艦・モビルアーマーはプラットホームが大きく、エネルギーパックなど必要とせずミノフスキー粒子を安定して取り出せて、直接メガ粒子を作り出すことが出来ます。
つまり、
- エネルギーCAPを併用したメガ粒子砲が「ビーム砲」
- メガ粒子を直接作り出せるメガ粒子砲が「メガ粒子砲」
と言う事になります。
諸説あると思いますが、ガンダム入門塾ではこのような見解です。
すんません。
以上 余談でした~。
「メガ粒子」ってナニ?