レビルは初等教育から軍隊活動や組織論等を学び、士官学校までの全ての過程を首席で卒業したエリート軍人です。
組織の幅と階層が深い事で、型にハマった腰の重い官僚型の指揮官や重鎮が大勢を占める地球連邦軍。
しかし レビルはそれらと異なり、自ら前線に赴き指揮を執る事を重視した、地球連邦軍でも数少ない実戦型の指揮官です。
ルウム戦役では、劣勢からジオン公国の捕虜となってしまいましたが、その後 奇跡的に生還したと言う特異の経歴を持っています。
この脱出劇は、敗色濃厚だった地球連邦に起死回生をもたらし、戦争の勝利を決定づけた出来事と言っても過言ではありません。
これらの事で、レビルが地球連邦に与えた影響とは?
また取り巻く環境や考え方は、どの様なものだったのでしょうか?
ルウム戦役と 捕らえられたレビル
一年戦争が開戦し、緒戦のブリティッシュ作戦を経て レビルが管轄・指揮するルウム宙域でも戦いの火蓋が切られました。
レビル艦隊はジオン公国軍の新兵器に対抗すべく、3倍もの戦力を有し 戦いに挑みましたが、そのモビルスーツの前に圧倒的劣勢を強いられてしまいます。
レビルが搭乗していた旗艦「アナンケ」も轟沈。
もはや艦隊はズタズタの壊滅状態となり、やむを得ずレビルは脱出を図ります。
しかし、そこに立ちふさがるジオン公国軍のエースパイロット、黒い三連星からは逃れる事など出来る筈がありません。
こうして地球連邦軍は「中将」と言う高位の指揮官を捕虜とされてしまった上、圧倒的劣勢を強いられたまま一年戦争緒戦を終える事になりました。
【動画】ルウム戦役の様子
レビル中将。
捕まっちゃっタヨ
レビル救出作戦
ジオン公国軍は、それら緒戦で擦り込んだモビルスーツの脅威と戦力インパクトを盾に、士気の下がった地球連邦に対して強気な態度で休戦協定を提示。
更に、捕らえられた名指揮官 レビルの姿をメディアで公開し、精神的にも追い討ちをかけて来たのでした。
敗色濃厚。
・・・支配下となるのか。。
ただ、ジオン公国の作戦進行や協定の申し入れの態度、タイミングに違和感を覚えていた地球連邦軍は、極秘裏にレビル救出作戦を敢行します。
厳しいセキュリティが成された状況下と想定した中、なんと奇跡的にレビルを救出する事に成功するのでした。
【動画】交渉も大詰めだっただけにジオンにとっては大きな痛手ですね。
ジオンに兵なし演説
レビル救出作戦の成功。
奇跡とも言える出来事ですが、それは必然であるかの様な事実が判明します。
レビルは捕虜になっていた時のジオン公国軍の様子を語り、演説しました。
その内容は、
ブリティッシュ作戦やルウム戦役で大戦果を遂げたジオン公国軍だったが、実はジオン公国軍が受けた被害も甚大で、元々国力の少ないジオン公国軍にはもう、戦える兵などいない。
と言うものです。
レビル程の地位を持つ捕虜でさえも取り逃がしてしまうセキュリティの低さは、演説に裏付けられた物理的な疲弊によるものだったのです。
【動画】レビル 演説の様子。
ギレン総帥も流石に困ったネ
これが俗に言う「ジオンに兵なし演説」で、ジオン公国の優勢は紙一重のところで成り立っている事を暴露し、地球連邦軍の士気高揚、盛り返すキッカケを作りました。
中将から大将へ。ロビー活動開始
この演説の後、レビルは「大将」となり、反攻のシンボルとして陸軍・空軍・宇宙軍の全権を委ねられ、地球連邦軍を指揮します。
ジオン侮るなかれ。
レビルは、ジオン公国の脆弱な内情を目の当たりにした一方で、ジオンの底力も肌で感じています。
しかし、官僚型の指揮官や重鎮達は レビルの演説を鵜呑みにし、ジオンは完全に弱体化したと楽観視していました。
また、モビルスーツによって受けた圧倒的なインパクトや緒戦の敗戦を経てもなお、組織や態勢の改革に目を向けようとせず、軍備についても旧態依然の大艦巨砲主義を貫こうとします。
古く長い歴史を持つ地球連邦軍の悪しき習慣や思考を変換すべく、レビルは重鎮たちとの対話の場を増やして軍備体制の刷新を熱心に力説。
新しい作戦の認可を得る為に説得を続けました。
その作戦こそ、かの有名な
V作戦
で、ビルスーツの量産とそれらを効率よく運用するための母艦の開発が主な目的である、レビル肝いりの軍備再編計画です。
レビルの英断? V作戦 発動
ルウム戦役で大敗を喫し、捕虜となった人物。
そんな汚点の付いた指揮官が大将の地位を得て、更には幾多の戦果を挙げてきた古き良き軍備体制を、根本的に見直しテコ入れしようとしている。
一部の官僚型指揮官たちの間には、この様な解釈をする者が出始め、何時しか保守型の派閥が形成される様になります。
もちろん、レビルを筆頭とする改革派も大きな派閥を形成しており、この2大派閥の折り合いや調整に多くの時間を費やす事になりました。
ただ 戦争はこう着状態と言うだけで継続中であり、ジオンも地球降下作戦などを実施して体制を整えようとしています。
つまり、一刻も早い方針決定が必要なのです。
そして、レビルは決断します。
- V作戦は発動します。
- 大艦巨砲を維持する為、中破した戦艦や巡洋艦も再生します。
自らの考えを実行すべく、相手の意見も取り入れた折衷案となりました。
こうして認可を得たV作戦は、ビンソン計画と同日の4月1日、開戦して丸3ヶ月の時間を費やして発動されました。
ホワイトベース隊に寄せる期待と反発
モビルスーツ開発のパイオニアであるジオン公国軍。
その お株を奪う様な活躍を見せるガンダムとホワイトベース隊。
それらは、最重要軍事機密 ”AAA” に属し、V作戦成功のカギを握る極めて重要な最新鋭機です。
成り行きとは言え、それを民間人によって無断で運用した事は 当時の連邦にとって軍法会議物の大問題でした。
しかし、レビルはその活躍に興味を持ち、自身の権限で罪と処分を不問とします。
レビルは地球連邦内でも数少ないニュータイプ肯定派で、ホワイトベース隊をニュータイプ部隊と称し、その活躍を自軍に向けた鼓舞、また、新しい希望の論点として活用していたと言われています。
色々な可能性を期待し、マチルダ中尉を中心とした補給体制を独断で編成して、ホワイトベース隊へ可能な限りの支援を行いました。
この事で、敵を引きつける格好の囮になりながらも、ガルマ・ザビ大佐を戦死に追い込み、オデッサ作戦では水素爆弾を被害無く迎撃する等、戦果を挙げ続けます。
やっぱり、ニュータイプなのかな!?
更にその戦闘データはGMの量産データとしてフィードバックされ、ホワイトベース隊はいい意味で期待を裏切る数多くの影響を示しました。
こうしてV作戦は、レビルが想定する以上の進捗を見せたのです。
不協和音
一方、この事でへそを曲げる人がいます。
それは、官僚型指揮官に代表される レビルと相対する保守派の人達です。
元々ジオンが唱えたニュータイプの存在を否定。
更に、主戦力がモビルスーツであるのは事実上の戦果が物語っているのですが、それを簡単に容認すれば、自分たちの保守的主張を否定する事にもなりかねない。
つまり、V作戦成功が面白くないのです。
確かに、ホワイトベースの活躍は目を見張る物ではあります。
しかし、逆に目立ちすぎるので追尾され、ベルファスト基地を襲撃されたり、最終的にはジャブローまで特定されてしまうと言う失態を一方では犯しているのです。
これらの事で、ホワイトベースは保守派閥からは「厄介者」と称され、それに肩入れするレビルとの溝が埋まる事はありませんでした。
この様な不協和音の中、レビルは戦争末期にソーラレイに撃たれ戦死してしまいます。
しかしV作戦 成功の勢いと、強行された星一号作戦により 地球連邦は勝利を納め、戦争は終結するのでした。
まとめ・考察
レビル将軍について記述しました。
星一号作戦発動前、レビルが旧ソロモン「コンペイトウ」に着岸した時、頭痛を訴える描写があります。
これはニュータイプのみが感じる事が出来る「感応派」を捉えた影響であると言われていて、つまり、レビルは「ニュータイプ」であった可能性があるのです。
自らの体験を基に戦局を読み、兵器保有体系を立案。
先見性は、ニュータイプの能力によるものかもしれません。
しかし、レビルは戦死しました。
それでもジオンは敗れ、地球連邦は戦争に勝利しましたが、この後 組織内で台頭してきたのが、一年戦争をジャブローの地下深くで過ごした保守派閥の幹部達です。
戦争も終結し、求心力を持ったレビルや腹心のティアンムも戦死してしまった事で勢力を拡大。
改革派だった人達を次々と冷遇していきます。
伝説の部隊と呼ばれたホワイトベースの艦長、ブライト・ノアは定期船の船長にまで左遷され、更にはボッコボコに殴り蹴られたりする描写もあります。
腐敗へと加速する地球連邦に対し、反旗を翻す連邦内分派組織「エゥーゴ」
ジオン残党討伐組織で、連邦を我が物とする「ティターンズ」と対立するZガンダムへの布石は、すでに作られていたのです。
地球連邦に新しい風を呼び込もうとしたレビル。
しかし 道半ばで戦死し、その後の組織は内部分裂とも言える最悪な方向へ進む事になるのです。
すんません。
以上 余談でしたー。
3機の高機動型ザクⅡで編成された黒い三連星。
ジェットストリームアタックでアナンケを仕留めた様です。