モビルスーツはその万能性を用い、格闘や有視界戦闘に重きを置いて開発されていますが、パイロットの存命率を上げるなどの安全面の配慮から、コックピットは胸部等に格納されています。
つまり、パイロットが肉眼で直接外部を見渡す事が出来ません。
モビルスーツの運用上、「周りの状況を観て確認する」という事は必須事項です。
しかし コックピットの配置上 それが出来ないので、それを補う為のカメラやセンサーを用いた「外部モニタリングシステム」が開発・装備されています。
今回は、モビルスーツのモニタリングシステムの概要について解説してみます。
モビルスーツのセンサーとは?
ジオン・連邦 双方のモビルスーツは、モニタリングシステムを構成するに当たり、主にカメラとセンサーが用いられています。
カメラの機能は想像が付くと思いますが、一方の「センサー」とは?
それは一体何を指すのか?
センサーとは、物理現象や対象の物理状態の変化などを捉え、信号やデータに変換して出力する装置や機器。
光や音、温度、圧力、電気、磁気、距離、速度、加速度、角速度など、様々な現象や対象に対応するセンサーが存在する。
(参照元:e-words.jp)
ガンダム入門塾では、この様に定義してみたいと思います。
ガンダムの公式設定はこの辺があやふやなので、上記に明記されているセンサーが内蔵されていると考えましょうね。
モビルスーツのモニタリングシステム
モビルスーツのメインカメラは単純にファインダーに入るものをモニターに写し出します。
これでハッキリと見えればOK。
しかし、太陽との位置関係により真っ暗だったり、遠距離の場合はカメラ感度が良くても写らない事が考えられます。
もちろん それでは困るので、カメラに写らない物はセンサーによって得たデータを複合し、モニターの映像にそのデータを挿入してパイロットが視認できるようになっています。
センサーが カメラで見えない部分を補正して、可視化します。
必要なデータとそれを元に、オペレーションシステムによる行動コマンド等を表示してパイロットのサポートをします。(多分)
しかし、ミノフスキー粒子が戦闘濃度散布されている空間では、これらセンサーの機能が低下してしまいます。
暗いし、センサーも機能しないと言う事は、
- 近くにいるけど見えない。
という、盲目に近い状況が生まれると言う事です。
「目隠しをしたまま戦え!」
これは緊張しますねー。
先に述べた通り、ミノフスキー粒子の効果により装備されているセンサーの機能は低下していますが、それでも光や音、温度、圧力、電気、磁気等などのあらゆるセンサーをフル稼働させて盲目の状態から抜け出そうとします。
この様な場合、モビルスーツが敵に遭遇したら接近戦・格闘戦を余儀無くされる訳ですね。
もしくはじっとしてやり過ごすか。
逆に太陽光が当たる明るい場所では遠距離から視認ができます。
それに加えミノフスキー粒子の散布濃度が薄ければ各センサーも元の性能を発揮するので、映像とセンサーのデータにより射程距離内であれば、正確な射撃・狙い撃ちも可能となります。
ザクのモニタリングシステム
MS-06 量産型のザクⅡデス
ザクは「一つ目」と呼ばれる事がありますが、ザクの象徴でもあるピンクに光る「モノアイ」をその様に例えています。
これは、スペースコロニー開発時代の建設重機に搭載されたカメラが原型となっているそうで、それにセンサーやレーザー通信機能を付加させたオールインワンの一体型モデルです。
首を振ってデータを収集する事も出来ますが、モノアイを可動させるレールと併用して周囲を素早く見渡すことが出来るので、データ集積能力は連邦のモビルスーツよりも優れていたと言われています。
これにマルチブレードアンテナ(角)を装備した士官機等は、索敵や通信機能が強化され、高い情報収集能力を得ていたそうです。
ザクのモノアイとマルチブレードアンテナ(角)
モノアイの可動レールは、ボトムズのスコープドッグと似た感じですかね。
その完成度が高かった影響か、一年戦争以降のジオン系モビルスーツは、このモノアイが根強く継承されていますね。
ガンダムのモニタリングシステム
ミなさんご存じ、RX-78-2 ガンダムの頭部だヨ。
ガンダムの頭部は擬人化されていますが、各センサーが内蔵された「センサーマウント」になっています。
- 頭のてっぺんにあるちょんまげ部分がメインカメラ
- 額の赤い中心部からVの字に伸びているのがアンテナ
- そして目の部分が各センサー
と言う構成です。
ガンダムは、3つの位置にカメラとセンサーが分散配置されているので、その視差によって対象物への精度の高い距離測定が可能です。
加えて頭部の殆どがセンサーマウントになっている事から広いキャパシティが確保され、それらの一つ一つの性能はジオン系モビルスーツよりも高かったと言われています。
アゴの赤い部分はオプチカルシーカーと言われる装置で、なぜか聴音マイクが装備されているそう。
音まで?
それ程、高い汎用性を求められたテスト機であった事がわかりますね。
しかし、宇宙空間ではこれはお荷物装備になるな。
光学センサーであるトカ、ヒューズボックスであるトカ、色々な説があるそうデス。
量産化されたジムシリーズは、ガンダムで言う目の部分がゴーグルの様になっていますが、その内部はガンダムとほぼ同じ構造で性能はガンダムの物よりも向上しています。
量産してコストが下がった分、性能を上げることが出来たのかな?
でも、それはコストの問題だけではなく、移ろう戦局に起因している部分でもあるのです。
それは、下記の「まとめ・考察」にて。
まとめ・考察
モビルスーツのモニタリングシステムについて記述しました。
ミノフスキー粒子の効果による各観測機器(センサー)の機能低下が前提としてあるので、巨大な兵器でありながらもモビルスーツの運用は可能となります。
この効果が無ければモビルスーツは、ただの「でかい的」です。
ミノフスキー粒子の効果によって生み出される有視界での戦闘を誘発し、高度な観測機器によって培われた連邦の戦術を無力化する事を目的として、国力で劣るジオンは心血注いでモビルスーツを開発しました。
となれば、モビルスーツに搭載したセンサーからのデータは、どれ程の効果や期待を持たれていたのか?
例えば、各モビルスーツのセンサー有効範囲
- ガンダム:5,700m
- ジム :6,000m
- ザク :3,200m
- ゲルググ:6,300m
と言う設定になっています。
見えない時の補助としてセンサーは必要なのですが、どんなに立派な性能を備えたセンサーも意味を成さなくなるのがミノフスキー粒子の効果です。
だから、センサーの性能のどこに重きを置くのか?
開戦当初、この疑問を携えつつも戦争は続き、やがて地球降下作戦の影響で戦闘は小康状態に陥り、その間、連邦がジオンと同等の性能を持つモビルスーツを開発・保有していきました。
ジオンにとって、連邦の兵器体制が同等になったと言うことは、拮抗した接近戦・格闘戦が増える=敵に近づくと言う事は、単純にパイロットと機体の死亡率・破壊率が上がる。
と言うことになります。
そうなれば、少しでも遠くからの攻撃を行う事が望ましくなっていきますね。
- 如何に遠くから敵の存在を察知し、備える事が出来るか。
- 如何に相手に気付かれる前に、遠くから攻撃が出来るか。
そう考えれば、センサーの機能が保全できなくても性能を上げようとする理由は理解できます。
ビーム兵器の普及もそれを後押ししているかも知れませんね。
このようにして、パイロットが色んな情報を基に戦えるように、ミノフスキー粒子散布下でのセンサーの機能不全を理解しつつも、より良いセンサーを開発していくと言いう、ある意味 矛盾した技術開発が進められていったのです。
しかし、それを一発で覆してしまう方法があります。
はぃ!?
こっちは一生懸命やってんすけどー。
とセンサーを開発する技術者がへそを曲げてしまいそうな発言ですが、しかしその方法は存在します。
それは、「ニュータイプの能力」です。
ニュータイプは、視覚による情報がなくとも、その「感脳波」で空間を正しく認識する事ができます。
ララァ・スンが搭乗したエルメスが、ソロモン宙域で投錨中の連邦艦船を数隻、相手に気づかれること無く沈めている例を見ても分かりますね。
「気がついたらやられていた」
と表現される程、隠密であり完璧な攻撃方法です。
ガンダムオリジンでは、シャリア・ブルのブラウ・ブロとガンダムが交戦した時、アムロがモニターとセンサーに頼らず、直感や感覚によってブラウ・ブロを撃破するシーンもあります。
交戦するブラウ・ブロとガンダム
ガンダムオリジンでは、テキサスコロニー内での重力下戦闘という設定になっています。
ノーマルタイプの人間がコックピットの中で必死に視覚情報に頼る中、直感と感覚で相手を沈めてしまうその能力は戦場で圧倒的な存在であった事が、このモニタリングシステムの記事を通じても理解出来ると思います。
最強の戦士と言われる所以はこの事に依りますが、とは言えどニュータイプは、その能力だけで戦っている訳ではありません。
あまりその能力に頼りすぎると、ララァの様に「頭痛いっす。。」的な事に陥ると思われ、通常は普通にモリタリングシステムを使用しています。
ちなみにザクのモノアイは、「カノム精機」というコロニー建設重機に搭載されていたカメラの技術が応用され、メインフレームは「グラモニカ社」というメーカーの物を採用。
それに「フェリペ社」というメーカーのセンサーが組み込まれていたそうです。
加えて、レーザー通信の送受信器も内蔵されているとの事。
設定が細かいなー。
すんません。
以上 余談でしたー。
カメラだけでは よく見えなくテモ