検証! トリプル・ドム(ジェットストリームアタックは有効なのか?)

新兵器モビルスーツが、戦場を牛耳った一年戦争緒戦。

ルウム戦役で高い戦闘スコアを叩き出し、地球連邦軍指揮官 レビル中将を捕虜としてとらえた小隊が名を轟かせ、一躍有名となります。

この功績から、ガイア・オルテガ・マッシュからなる、通称「黒い三連星」はエースパイロットの称号を与えられました。

その黒い三連星が得意とする、互いを補い合いながら相手をかく乱して倒す三位一体の独特な連携攻撃。

通称「ジェットストリームアタック」の利点と弱点を整理してみます。

三位一体攻撃とは

部隊や小隊には色々な成り立ちがあります。

例えばホワイトベース隊に配備されていたガンダム・ガンキャノン・ガンタンクからなるチームは、それぞれが担う役割が兵器性能上 異なります。

ぴろすけ

左から、ガンキャノン・ガンダム・ガンタンクですね。

ハロAI強化ver.

ソれはみんな知ってるだロ

白兵戦を担う最前線のガンダムが、ガンタンクの遠距離砲撃による援護を受け、さらにガンキャノンがガンダムとガンタンクをフォローする陣形で敵に立ち向かいます。

ホワイトベース隊のフォーメーション


ぴろすけ

ホワイトベースからのバックアップもあり、どこから攻められても対応をとり易く、それぞれの性能を活かせる役割になっています。

遠距離から近距離まで、広く対応できる兵器構成とも言えます。

一方、今回取り上げる黒い三連星による三位一体攻撃は、基本的に兵器性能が同じで、狭い距離感から高度な連携で敵をかく乱して倒します。

攻撃対象の的を絞り、確実に撃墜する事が目的です。

ぴろすけ

ガンダム1機に的を絞り、3機のドムで集中攻撃を仕掛けます。

比較して まとめると、

  • ホワイトベース隊の攻撃:「線」や「面」で敵を捉える。
  • 三位一体攻撃:「点」で敵を捉える。

と言う感じでしょうか。

言い方を変えれば、三位一体攻撃はピンポイントアタック。

束で一人を囲むという事にもなります。

三位一体攻撃の利点

三位一体攻撃の利点はズバリ、「多勢に無勢を作り出す事」が出来る事です。

ジェットストリームアタックで例えるなら3対1。

数的に圧倒的有利な状況を作り出せます。

ここに、黒い三連星の様なエースパイロット同士の「抜群の連携」が加わり、敵からしてみれば、雨あられの様に攻撃を加えられ逃れる術も無い。

袋叩きの状態になる訳ですね。

また、

  • 互いの死角を埋める
  • 囮として敵を引き付ける
  • 単機で補えない攻撃や防御をフォローし合える

狭い距離感ならではの連携が高まれば高まる程、これらの利点は活かされ、敵は攻撃に対処する事が困難となります。

この事で「確実に撃墜」の可能性を高め、黒い三連星はルウム戦役において大きな戦果を残したのです。

三位一体攻撃の弱点

先に述べた通り、三位一体攻撃は狭い距離感で敵に攻撃を加えます。

攻撃を加えると言う事は、破壊するという事。

距離が近い分、飛び道具も持っている分、味方を誤って破壊してしまう事もあり得るのです。

つまり自滅。

これを回避するには、3人が信頼し合い、息がぴったりと合わなければなりません。

もう曲芸師集団の世界です。

言い換えれば、一人欠けても直ぐに変えが効かないと言う意味であり、更に言うなら、このチーム編成は崩せないので、常に3人で行動。

部隊配置や配置転換の柔軟性を欠き、状況によって扱いが難しくなると言う弱みが付きまといます。

三位一体攻撃の最大の弱点

三位一体攻撃の最大の弱点は、それを行う為の絶対条件、

  • 敵を孤立させる事。

これに全て掛かっていると言っても過言ではありません。

なぜなら、ターゲットを定め、高度な連携でかく乱して攻撃を仕掛ける戦法なので、そのターゲットが孤立していなければ、かく乱の効果を受けていない、援護できる位置にいる敵が戦闘に加わってしまい、連携を崩されてしまうからです。

ジェットストリームアタックは3機の隊列を縦に保ち、前方の機影に隠れて攻撃を仕掛けます。

すなわち正面にいるターゲットのみに、かく乱の効果があるのです。

ぴろすけ

後ろの2機の武器や手元が見えにくいので備え構える予測が困難になります。
ターゲットには狙い通りの かく乱の効果が現れます。

援護できる位置からジェットストリームアタックを見た場合、ただ単に固まってターゲットに向かって真っすぐ進んでいるだけにしか過ぎません。

仮に下図の様な角度からであれば、援護として狙い撃ちする事は容易です。

ぴろすけ

狭い距離感での集中攻撃なので、他に気を回すゆとりは無さそうです。。

とにかく誰にも邪魔されない事。

これらの理由により、ターゲットを孤立させる事は絶対条件なのです。

しかし戦場に於いて、敵が自ら孤立してしまう状態を易々と作るでしょうか?

これを考えると、戦闘中にジェットストリームアタックを仕掛けるタイミングは、かなり限定的・局所的だと考えられます。

技能とは別に、高度な戦局の「読み」も必要になるのではないでしょうか?

ジェットストリームアタック 失敗

実例で検証してみましょう。

機動戦士ガンダム
第24話「迫撃!トリプル・ドム」にて。

シチュエーション

ホワイトベースは修理中でミデアから補給を受けていて、着陸しています。
足が完全に止まっている状態。

出撃可能兵器:Gアーマー(ガンダムとドッキング中)・ガンキャノン・ガンタンク

これに対し3機のドムで攻撃を仕掛けます。

トリプルドムvsホワイトベース隊

ぴろすけ

Gアーマーで空からの援護も可能です。
戦力差と兵力の汎用性を比較すると、奇襲攻撃とは言え黒い三連星が不利に見えます。

Gアーマーは戦闘中にガンダムと分離し、その後Gファイターとして空から援護できる状態であり、ガンダムは孤立していません。

ガンタンクとガンキャノンはホワイトベースの守備的役割で出撃しており、肉眼で見える距離で援護できる状態。

ホワイトベースも主砲やミサイルを発射し、弾幕を張っています。

そんな状況で、黒い三連星はガンダムにジェットストリームアタックを仕掛けます。

1度目のジェットストリームアタックはガンダムの虚を突き、3機で囲む事が出来ましたが、この際、もしかしたら援護網をかいくぐり瞬間的にガンダムを孤立させる事に成功していたかも知れません。

ハロAI強化ver.

【動画】ジェットストリームアタック 1回目

ぴろすけ

なんでこの時だけ援護射撃が止むんだろ。。

しかし1度目で仕留める事が出来なかったので、立て続けに2度目のジェットストリームアタックを慣行します。

ハロAI強化ver.

【動画】ジェットストリームアタック 2回目

2度目の攻撃は、なんと「輸送機」のミデアの援護で隊列を崩され、ガンダムがマッシュのドムを撃破。

ハロAI強化ver.

マチルダさんが乗ってた輸送機のミデアだヨ。

黒い三連星が、隊列を組みなおして仕掛け直す際にガンダムへの援護は復活し、ある意味、ジェットストリームアタックを仕掛けるタイミングを見誤った可能性がありますね。

焦ったのかも。

ちょうど武器も無くなり、実力を出せぬまま退却する事になりました。

こうして、2度に渡るジェットストリームアタックは失敗し、チームも崩れ、次の戦闘にて黒い三連星は全滅してしまうのです。

ジェットストリームアタックの有効性

黒い三連星がホワイトベース隊に攻め込んだ時、黒い三連星を援護する部隊などは居ませんでした。

つまり、3機のドムだけでホワイトベース隊に戦いを挑んだのです。

最初はドムのスピードに付いて行けず、ホワイトベース隊は混乱した状態に陥りはしましたが、黒い三連星には援護が無かったので、他に気を取られる要素が無く、対峙していたガンダムの援護を全力で行える状況であった筈です。

ガンダムが孤立していない状態でジェットストリームアタックを仕掛けたのは、よっぽどの自信があったのか、戦果を焦ったのか、それとも背水の陣として賭けに出たのかもしれません。

もし、黒い三連星が味方からの援護、バックアップを受けられる 複数の部隊で出撃し攻撃を仕掛けていれば、ガンダムを孤立させる事に成功し、ジェットストリームアタックでガンダムを倒していた可能性は十分にあった筈です。

更にはホワイトベースも撃破できていたかも。

  • 援護さえあれば。
  • 孤立していれば。

ジェットストリームアタックの威力は「ハマれば」確かに凄まじいものだったのでしょう。

しかし、先ずは「環境を整える」事が出来ないと輸送機のミデアにでもその攻撃を食い止める事ができる、ホームランか三振かの様な安定感の無い攻撃方法で、おそらくトリプル・ドム単体では機能しない戦術だったのかも知れませんね。

ハロAI強化ver.

ミデアに邪魔されるとハ。。

まとめ・考察

ジェットストリームアタックについて記述しました。

黒い三連星は敗れました。

しっかりと三位一体攻撃のウィークポイントを抑えて、その技術を組織上の、作戦上の「切り札」として使えていればホワイトベース隊を撃墜できていたかも知れません。

マチルダさんはミデアと共に散りました。

アムロは、マチルダさんの戦死を切欠にニュータイプに覚醒したと言われています。

  • 3人のエースパイロットを失ったジオン
  • 最強の戦士 ニュータイプを手にした連邦

真逆の結果が。

しかし、この時、黒い三連星の出撃した目的は何だったのでしょうか?

制圧した月面都市グラナダから離れる事が出来なかったキシリア少将が、出来る事としてエースパイロットの黒い三連星を急きょ地球に降下させ、オデッサ作戦に備えたのまでは分かります。

しかし、黒い三連星の独立した使われ方に少し違和感を覚えてしまうのです。

黒い三連星は、オデッサ地区の指揮官マ・クベに、「ちょっと木馬見てきます。」的なノリで出撃する事を伝え、ホワイトベースへと向かいました。

元々、ガイア、オルテガ、マッシュはモビルスーツ開発段階からのテストパイロットを勤めており、故にモビルスーツを誰よりも熟知していて、また性格も猛々しい。

要は、扱いづらい人達です。

マ・クベも煙たい顔をしていましたし、この出撃は黒い三連星のスタンドプレーなのかなぁ。

ジオンの地上における運営の厳しさがあったからこそ、キシリアがわざわざ送り届けてくれたそんな大事な人材をもっと組織的に扱ってほしかったなぁ。

ハロAI強化ver.

マ・クベ
管理能力無しなのカ?

黒い三連星。

キャラが立ってた分、もう少し活躍を観たかったですね。

ぴろすけ

すんません。
以上、余談でした~。



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    ガンダムは好きですが、宇宙世紀でないシリーズは詳しくありません。 シャアとアムロが織りなす世界観が好きなのです! 「塾長」と称していますが、ただの一年戦争ヲタク。 熊本県在住 普通のサラリーマン。 階級は伍長あたりで、もちろんオールドタイプであります。。