「人型ロボットを戦力投入すべく、ロボットの開発を行う。」
ミノフスキー粒子散布下で、レーダー等の観測機器が著しく機能低下する中、なぜ人型ロボット兵器を戦力として使用しなくてはならないのか?
当初 ジオン公国内部でもこの発言は嘲笑をかったみたいです。
しかし、ジオン公国は経済的事情とその効果に期待し、このロボット開発計画を承認することになります。
人型ロボットに求められる性能とは?
ミノフスキー粒子散布下では、その粒子の特性によってレーダー等の観測機器がほとんど機能しません。
つまり、化学技術を駆使した索敵では敵の状況をつかむ事ができないのです。
この事により、隠密行動やゲリラ作戦を中心とした奇襲攻撃を実施することができます。
そこで課題となるのが
「短時間で勝負を決める」戦い方
です。
長い時間をかければ、奇襲攻撃の意味も薄れ自軍も浪費します。
その課題のクリアと隠密行動・ゲリラ作戦・奇襲攻撃という運用にマッチングする兵器のコンセプトとして、
- 機動性に優れ、堅牢(頑丈)である事
- 汎用性が高い事
- 状況に応じた武装・装備が出来る事
要は万能性を追及するという事なのですが、これを網羅する兵器こそ、人型をしたロボットだと考えたのです。
人型ロボットに出来ること
- 機動性はアニメ的発想で人型のロボットに推進装置を付加すれば解決できます。
- 堅牢についても装甲材やフレームを強化する事で解決できます。
- パイロットの安全を確保できれば、陸・海・空・宙どこでも運用でき、機体が堅牢(頑丈)である分、人型ロボットの手足は機体の固定、姿勢制御、掘削などの作業建機・治具としての利用、荷揚げリフトにもなればウェイトにもなり、ハンマーにもなります。
- 戦闘についても有視界戦闘が頻発する事が想定できるので、無手の状態でも格闘(攻撃)ができます。
- 手に持てるものは全て道具や武器となり得ますし、もちろん専用の武器や装備も保持できます。
- それらの予備を足腰に携帯させる事も可能です。
要は、グリーンベレーのような特殊部隊の強化ロボット版を作るようなイメージです。
また、生身の人間とは異なり、メンテナンスを心掛けて壊れなければ永続的に使用できる事もポイントとなります。
人型ロボットの効果と運用例
地球連邦に比べ1/30の国力しか無いジオン公国にとって、地球連邦軍が保有する兵器を無効化できるミノフスキー粒子の効果は絶対に活かさなくてはなりません。
それに加え人型ロボットは上記した性能から次の運用方法が想定されます。
具体的運用例(宇宙での運用例)
- ミノフスキー粒子を戦闘濃度散布後、人型ロボットを敵陣に向けて3機発進。
- その後、デブリ等に隠れながら敵陣に接近。
- 進入ゲートなどある場合は手や道具を使って開放させる。
- 進入後、至近距離まで到達したら推進器で一気に加速し本体に進入。
- 敵の応戦体制が整っていない中、飛び道具でけん制しつつ敵陣を攻撃。
- 堅牢である為、多少の応戦に耐えつつ敵陣の中枢を破壊。
- 中枢を破壊後、役割分担として①応戦する、②戦利品の確保、③それらの補助、に別れそれぞれ活動。
- 敵が戦闘放棄したら味方が合流するまで防衛・警戒用に待機。
- 味方が合流したらメンテンスを行い次の作戦の準備。
これを要約すると、
- 甚大な被害を短時間で与えられる
- 万能性があり、あらゆる作戦・行動に対応できる
- 繰り返し使用可能で経済的
となります。
ちなみに上記した運用例は、ガンダムの第1話の冒頭、ザクがサイド7に潜入するプロセスと同じです。
【動画】サイド7潜入の様子だヨ。
人型ロボットのコストとモビルスーツの開発
しかし、その反面人型ロボットは万能性を有する分、一般的な兵器と比べ建造(イニシャル)コストはもちろん高くなります。
ただ別の見方をすれば、地球連邦軍と比べ国力(人)の少なさを考慮すると、「質より量」が優先されコストの低い兵器を量産し数を整えても、万能性が低い分 作戦によっては出番が無くパイロットと兵器が余ることもあり得ます。
それよりも万能性の高い兵器であらゆる作戦や環境に満遍なく対応できた方が効果的・経済的であるとも言えます。
これらの理由により、ジオン公国の判断は冒頭にあった嘲笑から一転、このロボット開発計画は承認される事となりジオン公国のトップシークレットになりました。
ロボットは機動性(mobile)を持つ「戦術汎用宇宙兵器」と定義づけられ、
- Space
- Utility
- Instruments
- Tactical
mobile-S.U.I.T(モビルスーツ)と呼ばれるようになり 密かに研究が進められていきます。
ジオニック社などの重工業メーカーと連携し開発は進められていきます。
モビルスーツの実戦運用
モビルスーツが実用状態になり、量産されたザクは、ジオン公国が宣戦布告した当時、ミノフスキー粒子散布下で予想以上の性能と戦果を上げ、モビルスーツは地球連邦軍の脅威となりました。
また、地球連邦軍本拠地ジャブローへスペースコロニーを落下させる作戦「ブリティッシュ作戦」も、モビルスーツを作業用ロボットとし利用しながら敵からの攻撃にも対応できる、ザクの高い作戦対応能力と万能性により成功出来たのです。
まさに、思い描いたシナリオ通りの運用ができました。
ジオン公国軍主力モビルスーツ
MS-06 ザクⅡ。
ジオン公国のミスとガンダムの開発
しかし、ジオン公国は圧倒的な脅威となったモビルスーツを誤って作業中に漂流させてしまい地球連邦軍に回収されてしまいます。
当時モビルスーツの運用に疑問を抱いていた地球連邦政府もザクの回収により、もともと発動していたRX計画(地球連邦が民間企業に委託したモビルスーツ開発計画)をV作戦に切り替え、本腰をいれてモビルスーツの開発に取り組み始めます。
【動画】モビルスーツ開発とV作戦発動
経済力に物をいわせた地球連邦政府は、ジオン公国にとって脅威となるモビルスーツ「RX-78ガンダム」の開発に成功するのです。
こうしてモビルスーツは地球連邦、ジオン公国共に開発・保有することになり、戦場のフロントラインで運用されていくことになったのでした。
要点・まとめ
- ジオン共和国は、ミノフスキー粒子散布下では、万能性が高い人型機動兵器が必要と判断。
- 製造上、高コストとなるが あらゆる作戦に満遍なく対応できる万能性を高く評価し開発を開始。
- その後 量産が決定。開戦直後の作戦は作業・迎撃・囮等に対応できる万能性により成功を収めた。
- 地球連邦にとって脅威となったモビルスーツは地球連邦でも独自に開発が進められる事になった。
色んな作戦状況に対応できるモビルスーツの戦果は、地球連邦の度肝を抜きました。
だからこそ30倍もの国力を持つ地球連邦はそれと同等以上のものを保有しようとします。
当たり前ですよね。
それが故、ジオンは地球連邦に粘られ、戦争が長期化すれば困るはずです。
ザクの漂流と連邦のモビルスーツ開発。
この事がジオン公国にとって、後に大きな痛手となるのは容易に想像がつくのではないでしょうか?
その想像は現実のものになっていきます。
・・・つづく
SF戦争ごっこでもするつもりか?