一年戦争開戦と共に、ジオン公国軍が実戦配備した新兵器モビルスーツ。
ただ、ビーム兵器を装備した機体を投入するまでには至りませんでした。
実弾兵器のザクマシンガンやザクバズーカが主武装でした。
一方、開戦後 遅れてモビルスーツ開発に着手した連邦軍でしたが、V作戦を発動し 試験機RXシリーズに早い段階でビームライフルを実装。
このデータを基に、ビーム兵器を標準装備したジムを量産化させました。
ビーム兵器の装備は、後発だった連邦がジオンよりも先に実用化させたヨ。
これまで ガンダム入門塾では、
モビルスーツ用のビーム兵器開発が遅れた事に大きな要因がある。
と言う主旨の記事をいくつか書いてきました。
国家の運命をかけて戦争を仕掛けたジオン公国。
しかし 宇宙世紀最強の攻撃力を持つビーム兵器の、モビルスーツへの装備が遅れたと言う失態。
負ける事が許されない状況下での、この問題を検証してみます。
目次
水陸両用機とメガ粒子
ちょっと待ってください!
ズゴックとかゴッグはビーム撃ってたぢゃないですか!
と思われる方もいるかも知れません。
あれを説明しますと、水域周辺を主戦場とする水陸両用モビルスーツは水冷式ジェネレーターの搭載が可能で、比較的容易に冷却と出力UPを施せる機体です。
この事で、モビルアーマーや艦船と同じく、ジェネレーターから直接ビームを生成できる「メガ粒子砲」が装備されていました。
ただ これは、連邦のモビルスーツが装備している携帯型ビーム兵器と仕組みが大きく異なります。
汎用性の高い、ザクなどの主力量産モビルスーツにビーム兵器を装備できたかどうか?
これが本記事で検証したい論点です。
パイオニア。ジオンの失墜
- メガ粒子砲の開発(U.C.0070完成)
- モビルスーツの開発(U.C.0074 ザクⅠ完成)
ジオン公国は連邦よりも先に上記 2つの革命的な兵器開発に成功しています。
連邦はジオンより10年技術が遅れていると言われる事もあった程です。
では、その先駆者がなぜモビルスーツへのビーム兵器開発に遅れを取ってしまったのでしょうか?
地球連邦の軍備とミノフスキー粒子
大艦巨砲を主眼とする地球連邦軍。
巡洋艦サラミスと戦艦マゼランだヨ
独立に向けた抗争の中でサイド3に配備されていたガンタンク。
初期型ガンタンクだヨ
この時、U.C 0070代初旬。
ミノフスキー粒子の特性を理解していたジオン公国軍は既にモビルスーツの開発に着手していました。
ミノフスキー粒子散布下でのモビルスーツは、これらの連邦の軍備を圧倒する事ができます。
- 艦船から縦に深くえぐる「メガ粒子砲」
- 機動力と万能性を兼ね備えた「モビルスーツ」
決戦に向けたジオンのカードは、既に そろいつつありました。
モビルスーツの武装
切り札とも言える新兵器モビルスーツには何を装備したらいいか?
この当時の候補はこんな感じでしょうか。
- 実弾兵器
- 核兵器
- ビーム兵器
ビームでしょ!
これに対し、技術的見解として、
- もう準備できてます!
- 対策が必要ですが、行けますよ。
- すんません。小型化の技術面で ちょっと。。
ビーム兵器の装備はまだ実用レベルに達していません。
仕掛ける戦争に何が一番最適なのか?
判断するにあたり、立案された作戦プランも重要になります。
ジオンの国力と作戦
連邦に比べ国力が1/30しか無いジオン。
無駄な損耗を避け、短期間で確実に作戦を成功させる必要があります。
ここで課題になるのが、数にモノを言わせ抵抗する連邦の戦力や目標に対し、
- 自軍の勢力を損なわない事。
- 広く早く確実にせん滅する事。
もし これが出来なければ、3,000万tを超えるスペースコロニーを地球への落下軌道に乗せる大仕事が後手に回ってしまい、対策を打たれ作戦は失敗します。
強いて言えば 余力は乏しく、失敗は国家の敗北を意味しているのです。
モビルスーツ武装の決定
では、ここでモビルスーツの装備候補と作戦プランとを照らし合わせて整理すると、
- 兵器体系がバレちゃうので、時間を掛けられない。
- 広範囲に壊滅的なダメージを与える兵器がない。
大きくは、この2点です。
これを受け、早々に準備できるマシンガンやバズーカの装備を主眼とし、これらビームに劣る攻撃力を補う為に、一部のモビルスーツには核弾頭を搭載するプランで調整される事になりました。
これを整いつつあった軍備体系に加えてみると、
- 艦船から縦に深くえぐる「メガ粒子砲」
- 攻撃力と機動力、万能性を兼ね備えた「モビルスーツ」
- 広く壊滅的なダメージを与える「核兵器」
赤い文字が加わった部分だネ。
兵器特性が被る事なく、作戦を実行できる体系が時間を掛けずに整います。
ただ 本来なら、ビーム兵器のモビルスーツへの装備は捨てがたい所です。
しかし 核弾頭の投入と艦船からのメガ粒子砲による攻撃で、それを補えると判断され、モビルスーツへのビーム兵器開発はここで保留・中断されたと考えられます。
短期決戦失敗。ジオンの誤算
ブリティッシュ作戦の失敗。
続けてルウム戦役も失敗。
戦局を圧倒的優位に進めたジオン公国軍でしたが、結果 作戦は失敗しました。
何に問題があったのでしょうか?
ビームと核
落下軌道に乗ったスペースコロニーを阻止すべく、集結する地球連邦軍。
それに対し、ジオンは核兵器で攻撃・せん滅しながらコロニーを防衛します。
しかし、数にモノを言わせる連邦軍が散開しながら次々と兵器を投入。
的が絞りにくく、また味方がいるエリアには核兵器を放つ事もできません。
交戦が始まると、核攻撃は味方まで巻き添えにします。
そうなれば、次はモビルスーツの万能性を活かした接近戦が繰り広げられる事になります。
近代観測機器を無効にするミノフスキー粒子の効果とモビルスーツの性能で、この接近戦も制するジオン。
しかし この時、一撃で仕留める「ビーム兵器」を装備できていなかった事で、コロニーを狙撃する敵を撃破するのに時間を要してしまったのです。
確かに圧倒はしました。
しかし、かいくぐっての攻撃は防げず、蓄積されたダメージはスペースコロニーを破壊。
【動画】ブリティッシュ作戦の様子。
落下前にかなりの攻撃を受けている事が分かるネ。
スペースコロニーは、ターゲットである連邦軍本拠地「ジャブロー」へ落下する事はありませんでした。
まとめ・考察
ザクは、機体のキャパシティが小さい上 放熱性能も低かったので、メガ粒子砲が装備可能な高出力ジェネレーターを搭載できませんでした。
これが開戦当初、モビルスーツがビーム兵器を装備できなかった最大の理由です。
そこで考え方を切り替えて、メガ粒子になる寸前の状態を溜め込む技術「エネルギーCAP」の研究が進められました。
しかし ジオンは、このエネルギーCAPの開発を保留。
決戦を急ぐあまり、既存武器に依存してしまったのです。
- 敵の物量に対し、効果的に核兵器が使えなかった事。
- モビルスーツにビーム兵器を装備できなかったので、致命傷を与えるのに時間が掛かった事。
総じて問題は、この図の内容に尽きると思います。
戦いは1ターンで仕留める方が楽に決まってます。
接近戦を圧倒する事こそ、モビルスーツの評価を最大化する戦果。
ビームを装備できていたら。。
シャアはルウム戦役で5隻の戦艦を撃墜し、2階級特進したとされています。
……少ねぇ。。
コロニーを落とす時間を稼ぐには、エースパイロットで5隻では少なくないかなぁ。
これがビームだったら。。
やはり、ビーム兵器を装備していなかった事がジオン敗北の一番の原因だったとガンダム入門塾では考えています。
もうちょっと頑張れんかったかなぁ~。。
すんません。
以上 余談でした~。
ドム試作機で既にビームバズーカの開発に成功しています。
投入するか否かは単に技術力の問題とは限りません。
また、ズゴックは地上でメガ粒子砲を打ってませんでしたか
実戦投入できるまでに完成・生産できることも含めて「技術」なんでは?
実験レベルなら今現在の現実の世界でも兵器としての威力を持つ荷電粒子砲やレーザー砲は作られてますよ。
ずごっくさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、ジオンはビーム兵器が皆無であった訳ではありません。
ただ、本記事の冒頭に述べている通り、
「汎用性の高い、ザクなどの主力量産モビルスーツにビーム兵器を装備できたかどうか?」
をテーマにしています。
この点については誤解を招く記事表現かも知れませんが、ご了承くださいね。