宇宙移民者独立の象徴、ジオン・ズム・ダイクンの死亡・・・
宇宙移民者が落胆の一途をたどる中、ある一人の人物が台頭します。
彼の名はデギン。
デギン・ソド・ザビと言いますが、彼はジオン・ズム・ダイクン亡き後、共和国制を辞め、ジオン公国とし、公王に即位します。
ジオン・ズム・ダイクンとデギン・ソド・ザビ
ジオン共和国を建国し独立を宣言したジオン・ズム・ダイクンは「ジオニズム」という思想を唱え、宇宙移民者独立のシンボルであり模範や規範を示すカリスマでもあります。
ダイクンはニュータイプの概念も提唱していたその立場上、武力や争いによる解決を極力さけるべきという立場をとっています。
一方のデギン・ソド・ザビは当時、ジオン共和国の国防大臣を務めていて、軍備拡大こそが独立に反対する地球連邦政府への最大の抑止力になると考える軍備拡大派閥の筆頭です。
その考えに賛同する者も多かった事から、ジオン・ズム・ダイクンの平和的解決を求める温厚派閥と、対立とまでは行かない距離感を保ちつつ、2つの派閥間で方針が相反する形となっていました。
ただ、一般人にとって宇宙移民者独立のシンボルはジオン・ズム・ダイクンであり、デギン・ソド・ザビが共和国内でいかなる力をつけようと、共和制国家ではその存在感や影響力は薄れてしまいます。
元々は独立に向け手を組み、同じベクトルで共闘し共和国の礎を築いた中核の2人であるデギンとダイクン。
求める結果は同じ筈です。
しかし、やり方や方針が異なる事で次第に2人の間の溝は深まり、デギンは自分の理想とストーリーを実現させる為、水面下でいろいろな画策を始めます。
暗殺と軍備拡大
ある日、ダイクンは原因不明の体調不良を訴え、その後病床に就き やがて死亡してしまいます。
・・・宇宙移民者は突然、宇宙移民者独立のシンボルでカリスマでもあるジオン・ズム・ダイクンを失ってしまったのです。
宇宙移民者が落胆と失望の一途をたどる中、デギンは このような発表をします。
ジオン・ダイクンは、宇宙移民者の独立を嫌う地球連邦政府によって暗殺された!
この発表を聞いた宇宙移民者たちは、ただでさえ我慢の限界に達していた地球連邦政府に対し、一気に怒りが爆発します。
このエネルギーは、ダイクンから後任として指名されたデギンへの支持に変わり、思惑であった軍備拡大はダイクンが暗殺された事による宇宙移民者の怒りのエネルギーが後押しする形ですんなりと実行に移され、宇宙移民者たちも次第に好戦的な気質に変化していきました。
絶対君主制への移行と情報操作
ダイクンの死によって国民のベクトルは1方向に集中し意思統一ができている中、デギン率いるザビ家は、国内の様々な法案改正や多々の手続きを迅速に行えるように、主権が人民にある共和制国家から絶対君主制へ移行し、ジオン共和国はジオン公国に形を変え、軍備拡大路線へ、戦争へと突っ走る事になるのです。
後にザビ家による独裁国家と言われる様になる所以ですね。
しかし 実は極秘裏な話として、
ジオン・ズム・ダイクン暗殺を企てたのは、デギン・ソド・ザビ率いるザビ家
だったと言われているのです。
デギンは、このダイクンの暗殺を、
地球連邦政府が仕向けた宇宙移民者独立の妨害目的の暗殺
というストーリーを作り上げ、主権独立のシンボルを失った宇宙移民者の怒りをデギンに対する支持に塗り替え、一気にジオン公国を乗っ取ったのです。
こうして理想の形で国家を手中に収めたザビ家ですが、この一連の暗殺を交えた血混じりの交代劇は、後のガンダムのストーリーを築く基となっていきます。
宣戦布告 一年戦争開戦
公国制を敷いたデギンは宇宙移民者主権独立を唱え、ついに地球連邦政府に対し宣戦を布告!
独立戦争を仕掛けます。
開戦と同時に連邦政府管理下にあったスペースコロニー郡に攻撃を加え、制圧したスペースコロニーを南米にある地球連邦軍基地へ落下させました。
この作戦をブリティッシュ作戦といいます。
落下したスペースコロニーは目標のコースを外れ、オーストラリア大陸に落ち、その大陸の1/3を消失させました。
宣戦布告して一週間で総人口の半分(45億人)が死亡してしまいます。
【動画】ブリティッシュ作戦の様子だヨ
このブリティッシュ作戦の一撃から全てが始まり、たくさんの兵器が作られ、たくさんの命が奪われる悲惨な一年戦争が始まるのです。
要点・まとめ
- ダイクンが、サイド3の独立を宣言した時の強力なパートナーがデギン・ソド・ザビであった。
- しかし、ダイクンとデギンは国家独立へのプロセスが異なり、派閥抗争に発展してしまう。
- そんな中、国家独立の象徴であるダイクンが連邦政府に暗殺され、宇宙移民者の怒りが頂点に達する。
- ダイクンを失った宇宙移民者はザビ家主導の下に団結し、連邦政府に独立戦争を仕掛けた。
- しかし、暗殺は対立派閥のザビ家が仕向けたとされている。(この時宇宙移民者はこの事実を知らない)
地球を自然に帰す。という目的だった宇宙移民計画。
それが一部の人間による地球の独占につながり、立場の異なる人々同士のいがみ合いからの暗殺・謀略・政治・権力・抗争。
ガンダムは、これらをうまく束ねたストーリーで構成されています。
そこにSFの要素やロボット・化学技術・仲間・出会い・別れ・恋愛等など ストーリーのエッセンスとなる様々な物が含まれているので「見る人によって解釈が異なる」ストーリーにもなるのです。
これが分かればガンダムの独自の考え方や視点を基に、より深くその世界観を楽しむ事ができます。
次の記事からは、ガンダムの時代背景を紐解く内容「続基礎編」になります!
デギン・ソド・ザビ
一年戦争開戦後の風貌です。